「色なき風」に吹かれて

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週末から気温が下がり、急速に秋が深まった。そろそろセーターを引っ張り出さないと、心まで肌寒になる。

こんな季節に吹く風を、昔から何と呼ぶのだろう。
秋の歳時記には風にまつわる季語が多い。手紙の冒頭、時候の挨拶に役立ちそうな言葉を捜してみた。

『色なき風』 
秋の風をいう。「色なき」とは華やかな色のないこと。無色透明の中に身にしみるような秋風の寂しさを表現したもの。素風ともいう。
『爽籟(そうらい)』
秋風の爽やかな響きをいう。籟とは三つ穴のある笛、あるいは簫(しょう)と呼ばれる笛のこと。
『野分(のわき)』
秋の暴風で、草木を吹き分ける風。主に台風をさす。昔の人は台風を予測することが出来なかったので、秋の突風だと感じていた。
『やまじ』
台風または発達した低気圧による南寄りの強風をいう。
『黍嵐(きびあらし)、芋嵐』
黍や芋の茎を倒さんばかりに吹く秋の風という。
『雁渡し』
初秋から仲秋にかけて吹く北風をいう。もとは伊豆や伊勢の漁師言葉。この風は初めは雨を伴うが、のちよく晴れて急に秋らしくなり、空や海も青々と澄むようになる。
『青北風』
9月から10月にかけて晴天の日に北から吹く、かなり強い季節風をいう。

さしずめ今日、薄雲の下に吹いているひんやりとした風は、「色無き風」の典型だろうか。
「物思へば色なき風もなかりけり身にしむ秋の心ならひに」(新古今集:久我太政大臣雅実)

今年も残り3ヶ月。特に用はないけれど、故郷の友人に手紙を書きたくなる10月だ。

コメント

  1. tsune2 より:

    風流ですね。
    僕の考えるのは秋の味覚と酒。
    最後は、ただの酔っ払い。

  2. 髪結いの亭主 より:

    夏の喧騒を
    時には、あらあらしく
    時には、静かに
    たしなめながら・・・
    冬に導く季節が「秋」ですか・・・

    昔の日本人の感性と言葉は本当にすごい!!!

  3. yuris22 より:

    tsune2様

    今日はイタリアンレストランで「大海老と松茸のガーリック焼き」を
    食べてきました。
    秋の味覚は時として、景色を見ている暇を奪います(^_^;)

  4. yuris22 より:

    髪結いの亭主様

    ここ最近の気温は、晩秋のようですね。
    昔の人は晩秋を「冬隣(ふゆどなり)」と呼んだそうです。
    次の季節の直前。もっと寒くなれば「春隣」が待ち遠しくなるのでしょうか。

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