バックミラーのプラチナ通り

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コートも必要ないほど暖かな日が続く12月。なのに白金のプラチナ通り(外苑西通り)は人影が少なく、ショップの窓にSALEの赤い文字ばかりが目立つ。
イチョウ並木の下、黄色く降り積もった枯葉の上に車を停めて、静まり返った風景を見ていた。

プラチナ通り

3年前には散歩がてらに歩いた街。当時住んでいた恵比寿ガーデンプレイスからウェスティンホテルの裏に出て、自然教育園の脇を抜ければプラチナ通りへ出る。
東大医科学研究所の隣にある白い一軒屋は、行きつけの美容院。白金台にありながら六本木美容室という名前がエグゼな雰囲気で、鏡の前に座ればインスタント・シロガネーゼが誕生する店だった。

「いい靴を履いてる女がいると思ったら、ゆりちゃんだったのか。」
真っ赤な靴底のブーツが見える、背中合わせになった鏡から顔を覗かせたのは、当時付き合っていた彼。同じ時間に美容院を予約することからデートが始まる。

2時間後にはヘアスタイルを褒めあいながら、ブルーポイントのオープンカフェへ。
カフェオレとケーキでお喋りしているうちに、せっかくの巻き髪が風に解けていくけれど、長付き合いの彼と2人で「お茶する」場面が嬉しくて、他の店が開くまでの時間を過ごした。

「入ったことのない店を一つ一つ潰していこう!」がプラチナ通りのテーマ。
フレンチ、イタリアン、ビストロ、古民家のバー・・・、最後に行ったのは「心米」という土鍋ごはんの店だった。いつも満席なのに奇跡的に入れたのは、ドクターストップでお酒が飲めない彼の執念が通じたのだろうか。
十数種類あるお米から好きなものを選び、炊き上がるのを待つこと30分。あの幸せの匂いは今でも続いているのかなと、記憶に残った窓を探した。

恋は去り、シロガネーゼは死語になり、行きつけの美容院も変わって、今は車窓から見るだけのプラチナ通り。アクセルを踏めばバックミラーに遠ざかるイチョウ並木の一本一本が、過ぎていった月日のように思えた。

コメント

  1. muha より:

    織田せんせい今晩は。そろそろ<ですネプラチナorホワイトゴールドorスターリングシルバーの見極めもつけられませんが、万年筆を連想させられてしまいました 好きなペンてありますよネ 庭園美術館付近の上空にも心穏やかならぬ雲をつい目撃してしまいました

  2. yuris22 より:

    muha様

    庭園美術館付近の上空に・・ですか。
    今日が満月なので揺れないかと心配ではあるのですが、昨夜の月は白く美しく、大きな前兆をはらんでいるようには見えませんでした。
    今日も空に注意を払ってみます。

  3. muha より:

    あっ、こんにちはm(__)m雲さんですが…昨日ではございません 夕べは‘☆ミふたご座流星群’ご覧になられましたかぁ!?夜間飛行のランプみたいでしたよネ ココのトコ 沈(しづ)かでコワイんで ・・の勘繰りです

  4. muha より:

    またです。名前が自然にPC平仮名変換されてしまいσ(^_^;)? 何かのまえぶれじゃないでしょうか X(むは)→○(muha)に訂正お願いします

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