中年男女のスタンド・バイ・ミー

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空腹を抱えながら原稿を書いていた昨夜9時過ぎ、「何やってんだよ。飲みに行くぞ。出てこいよ~」と電話が入った。その時間からだと逗子の「海音」で飲むのが通常なのに、「上か下へ行こう」と意味不明な提案をしてくる。電車に乗って東京方面か、横須賀方面かへの略らしい。

男女混合の飲み仲間で、向かったのは「上」の大船。ホルモン焼、炭火焼鳥、カラオケと3軒はしごして、時計を見れば午前3時を回っている。ここでタクシーを呼べば問題はなかった。ところが「上か下へ」の誘いっぺが「鎌倉まで歩こう!」と言い出したのである。大船から鎌倉へは、間に北鎌倉駅を挟んで電車で7分。しかし歩くとなると5キロはあり、アップダウンの多いコースは酔っ払いたちには長く感じる。たまに走りすぎるタクシーを拾おうとしても、回送車ばかりだ。

「線路を歩いたら早いんじゃないの?」
誰かの一言に、踏切から線路へと突入した。これが昼間だったら「線路内へ人が立ち入りました」で、電車を止めてしまう大迷惑な客になるが、幸いこの時間なら線路点検車も走ってない。

♪ When the night has come  And the land is dark ♪
つい口ずさんでしまう「スタンド・バイ・ミー」。線路歩きの経験者を先頭に、一列になって下りの線路を歩き出す。まくら木の間隔が均等でなく、砂利に埋もれていたり、突起物があったりで、ずっと下を向いて歩かないと転んでしまいそうだ。やがて暗闇の向こうにはもっと深い暗闇。ああそうだ、鎌倉駅はトンネルに挟まれた駅なのだった。

モンスターのようにパックリと黒い口を開けたトンネルに入ると、遥か向こうの出口に緑の信号が見える。しかし足元は漆黒の闇で、どこを踏んでいいか分からない。各々が携帯電話を広げてライトを点灯させ、こんなときにも役立つ携帯に感謝しながら前進した。

「ゆりちゃん、後ろに4人目を連れてくるなよ!」
振り向けばさっきの入り口は、指のOKサインの輪ほど小さくなり、しいんと静まり返った闇が上から覆いかぶさってきそうだ。
「バカヤロ、こんな暗いところには幽霊はいないよ」
全く根拠のない発言に勇気づけられながらトンネルを抜け、やっと最初の踏み切りに出た頃には、大船から歩き始めて1時間経過していた。

いい歳して子供みたいなことにチャレンジする中年男女。私たちは仕事も育ちも違うけれど、年齢差があろうとあだ名で呼び合い、常に同級生のスタンスで付き合う。だからこそ長続きする親友であり、誰かが困った時には深夜であっても集合するガキ仲間なのだ。

♪ No, I won’t be afraid  Oh, I won’t be afraid
Just as long as you stand  stand by me ♪

鎌倉駅からタクシーに相乗りして、家に戻ったのは午前4時半。もうすぐ夏至、早起きな太陽が昇る時刻だ。もやがかった東の空に向かい深呼吸して、昔の少年少女たちは満足の眠りについた。

夏至の夜明け時刻

コメント

  1. marie より:

    楽しそうですね(^-^)
    ゆりさんは勿論、皆さん気持ちが若いんですねo(^o^)o私は今では夜遊びはキツくなって来ました。午前0時が限界です。

  2. yuris22 より:

    marie様

    若いのは気持ちだけです。夜遊びしたあくる日はさすがに身体がキツくて、無気力になります。夕べもベッドに入った夜中の1時に「何やってんの?」とまた賑やかな電話。海の近くで育った人間はタフさが身に付いているんでしょうか。

  3. 魔たろう より:

    はじめまして、マイケルの記事から飛んで来ました。
    俺にもお酒がすきなニックネームで呼び合う歳も環境も違う仲間が何人かいまして
    今回の線路を歩きながらの『中年男女のスタンド・バイ・ミー 』の行動がよくわかるなー!
    というか こういう大人が大好きです。
    最近深夜までは、もたなくなってきましたが
    いつまでも気が合う仲間と呑んで、熱く語れればいいなーと思っています。
    ゆりさんもいい友とのいい時間を楽しんで下さい。
    また時々寄らせて下さいな^^

  4. yuris22 より:

    魔たろう様

    いらっしゃいませ(^_^)
    私たちスタンドバイミー仲間は、つるんで飲み食いしすぎが内臓脂肪増加につながり、深夜のホルモン焼は月1~2回にしようと反省しております(いつまで持つことか・・)。でも1人意思が弱いのがいると、みんなでフラフラ行っちゃうのが可愛いところです。
    魔たろうさんのブログを拝見しました。カラオケのレパートリー、私と年代が近いかも。

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