発車まぎわの横須賀線。ランドセルを背負った女の子たちが3人駆け込んできた。
ドアの手すりにつかまって、キャッキャとお喋りに花が咲く。
やがて1人が誘うように歌い始めたのは、「カエルのうたが きこえてくるよ♪」
さらにもう1人が追いかける。「カエルのうたが~・・」
降車駅まで持て余す時間を、輪唱の練習に当てようとしているらしい。
「せーの!」でスタートしたものの、誰かが加わると滅茶苦茶になってストップする。
何度かチャレンジしたあと、諦めて歌が変わった。「静かな湖畔の 森の陰から♪」
「せーの!」
「静かな・・、あれっ!」「しーず・・、キャハハ!」
身体をよじらせて笑う彼女たちの声は大きいけれど、周りは誰も咎めない。
(次こそ成功してね)
ガタンゴトン走る音楽教室で、期待する乗客たちには微笑まで浮かんでいる。
箸が転んでも可笑しい年頃。誰にでもあった幸せな時代。
声たちが電車を降りた後でも、みんなニコニコが止まらなくてむず痒い顔。
その日の午後は調子が狂った。
野良猫が日向ぼっこをしてるのを見れば幸せになる。
ラジオから久しぶりのエルトン・ジョンで幸せになる。
お気に入りの炭酸水をシュワッと開けると幸せになる。
友人から冗談いっぱいのメールがくると幸せになる。
引き出しに溜まった領収書の整理が進むと幸せになる。
要するに今日は、何をしても幸せなんだなと幸せになる。
どうやら私にも幸せの輪唱が伝染したようだ。
コメント
健康そうな、やんちゃ娘、めっけ!
たけぞう様
デヘヘ、見つかっちゃった!
この頃だったかな、やんちゃが過ぎてガラス窓に頭を突っ込んで大怪我したらしい。
全く覚えてないんですが、今でもうなじに傷跡が残ってます。
み~つかた!
ミチ様
この頃よく隠れんぼをして遊んだのを思い出します。
いつも隠れすぎて、誰も見つけてくれなかった(;_;)
大人になった悪ガキたちは今どうしているのかな。