昨日はベルガモ・ドニゼッティ劇場のオペラ『椿姫』を鑑賞しに、上野の東京文化会館へ出かけた。『椿姫』といえば映画『プリティウーマン』で、ドレスアップしたヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)がチャーター機に乗って観に行った演目だ。正体は娼婦である彼女にとって、初めてのオペラが理解できるかどうか。そこにエドワード(リチャード・ギア)が「オペラは最初の経験が大切なんだ。それでオペラが好きになるかどうか決まる」とレクチャーする。
残念ながら隣にエドワードはいなかったけれど、昨日の第3幕目。パリ下町の家でヴィオレッタが死んでいく場面で、私もヴィヴィアンと同じ感動を味わった。アルフレードとの愛を取り戻して「嬉しい、私はまた生きていくのね」と歌いながら末期を迎える瞬間に、もう涙が止まらない。映画やドラマに感動しての貰い泣きは度々あるけれど、舞台を観て泣いたのは初めて。150年以上もの時を経たヴェルディの絶妙な音楽に、魂が揺さぶられる思いだった。
ところが感想とは人それぞれ。第2幕第2場でジプシーや闘牛士たち、パーティー客が大コンチェルタートを繰り広げて幕が下りると、休憩前に出演者たちがカーテンコールに登場する。第3幕はメインキャストの登場しかないので、バレエダンサーも含めたキャストたちが挨拶に出て拍手を浴びるわけだが、これを勘違いした方々がいた。
長蛇の列が出来た女性トイレ。オバサマたちが揃ってあくびをしている。
「あー眠かった!」
「30分も早く終わったわね。普通は延びるもんなのに珍しいわね」
「どこ食べにいく?」
ちょっと待って。これからがエンディングの第3幕なのに、今のカーテンコールで全て終わったと思っているの?空気読めーっ!
しかし私も人のことは笑えない。字幕で訳詩を見ながら、過去の大きな勘違いを発見してしまった。第1幕で恋に落ちたヴィオレッタが歌うアリア『ああ、そはかの人か』というタイトル。小学生のころにレコードで見て以来、「そはか」という人物を歌っているのだと信じて止まなかった。普通に考えれば『嗚呼、其は彼の人か』なのに、子供時代からの思い込みとは恐ろしいものである。
長年の謎を解くには本物を見なくっちゃ。次のオペラ鑑賞は何にしようかと、近々の公演を検索中である。
コメント
プリティウーマンは何度観ても面白い映画ですね。
しかし、プリティウーマンのように主人公が娼婦とか風俗で稼いでいる女性って一般女性より考えかたが大人な人が多いように思えます。
何もわからないと「ふしだら」とか「男好き」とかマイナスなイメージばかり持たれがちですが、若い女性でも貯金をしっかりしてたり、考えかたもきちんとしてますよね。
援助交際とか、出会い系サイト(今は死語??)よりは健全かと思います。
思い込みね~(笑)怖いですね(笑)
私はもっとすごいですよ。
1.鷹の爪を本当の空を飛んでいる鷹の爪だと思っていた。
2.平庭高原(岩手県にある)をピラニア高原と聞き間違えていた。
marie様
ピラニア高原は怖いですね~(笑) 行ったら生きて帰還できるかどうか。
思い込みとはちょっと違うんですが、笑い話。
その昔、家でバッハのレコードを聴いていたら、たまたま遊びに来た叔父がアルバムジャケットを見て言いました。
「おおー、バッチか!」
Bach・・・、読めなくもないですけどね(^^;