日差しが空気をキラキラと輝かせ、緑の葉に反射している。まさしく目に青葉の季節である。時候の挨拶の定番としては「若葉の候」「青葉の候」「新樹の候」「新緑の候」などがあるが、どんな違いがあるのだろう。日本大歳時記(講談社版)から引用してみた。
「若葉」
木々の種類によって、その緑の美しさを異にするが、初夏の若葉はすべて新鮮でみずみずしい。また個々の木々の名に若葉を付して柿若葉・椎(しい)若葉・樫(かし)若葉・樟(くす)若葉などという。
「青葉」
初夏の若葉が生い茂って、青々とした生気をみなぎらしているさまである。青葉若葉は濃淡さまざまの緑葉の混じったさまをいう。
「新樹」
初夏のみずみずしい緑の木立をいう。
「新緑」
初夏の目覚めるような若葉のみどりをいう。樹木によってみどりに微妙な違いがあり、明るい初夏の光の下、すべてがまさに夏来る想いを誘う。「新緑」がどっぷり夏に入ると「深緑」、ことどとく緑になった状態は「万緑」という。
今しか会えない緑たち。午後になると仕事を放り出して、歩きたくてたまらなくなる。逗子の亀ヶ岡団地から名越切通へ抜けるハイキングコースで見つけたのは「若楓(わかかえで)」。他の木々を一緒くたに若葉と読んでも、楓に限っては特別な呼び方をするのだ。秋の紅葉に対して、初夏の楓も万葉集のころから賞美されていたらしい。
若い葉と葉が重なり、交わりあって結ばれたような形に見えることを「結葉(むすびば)」というそうな。サヤサヤと優しい音をたて、5月の光を透かして揺れる結葉。万葉人たちと同じ自然のアートを見られる贅沢に浸った。
コメント
豊かな感性ですね。新緑→深緑→万緑…。
日本語に出会えて幸せを感じます。
日本語って美しい。
けど、難しい(笑)
的は逗子の素浪人様
漢字がある国ならではの感性ですよね。今日もすがすがしい気候の中、新緑を満喫しに出かけようと思っています。
湘南ミヤウチ様
お習字が得意なら美しい日本語で手紙をしたためたいと思っているのですが、キーボードの弊害でますます字が下手になっていきます。日本人ならではの文化をもっと大切にしなくちゃいけませんね。