節酒を始めてから2週間が過ぎた。外で誰かと喋りながら飲むことはOK(アルコール度数が低いものを3杯まで)と決め、自宅で一人酒しないのを自己ルールとしたのである。
ルールを課すために行ったのは、四の五の言わずにいきなりトライしてみること。湯上がりのビールどころか、ノンアルコール飲料もやめようと決め、温かいソバ茶をガブガブ飲むことに徹した。酒の肴は作らず、食事は温野菜をメインにして、夜中にお腹が空かないようにご飯は必ず1膳食べる。歯磨きは早めに済ます。しかしベッドに入っても当然ながら頭が冴えているので、医師に処方された入眠剤は飲んでいいことにした。でないと分厚い本を読んで眠気を待っても、情けない気分を抱えたまま読み切って朝を迎えてしまうからだ。
驚いたことに、1日だけなら実行できそうと思っていた節酒は、次の日もまた次の日も淡々と続く。私はアルコール依存症じゃなかったんだと知り、気を良くしてさらに解決すべき課題に立ち向かった。それは外で飲んで帰宅してからの自己管理である。録画したテレビ番組を見ながら、惰性でグビグビと飲み続けてしまうのは絶対に避けたい。ここを乗り切らなくては、日が暮れると晩酌をしたくなる衝動が復活すると思うのだ。
だから勇気を振り絞って、いちばんやりたくないことをした。見て見ぬふりをしていた自分の心と正直に向き合うことである。手持無沙汰だから飲むんじゃないの? 現状から逃避するために飲むんじゃないの? 淋しいから飲むんじゃないの? 冷静な自分からダメな自分に、耳を塞ぎたくなる質問を投げかけて恥をかかせる。ともすれば立ち直れなくなる危険な行為ではあったが、アルコールが身体から抜けているからこそ試せたのだろう。
そして現在はちょっとだけ進歩。ネガティブな逃げ場所が無くなるとイライラ感が消えて、周りの人たちに優しくなれる。自然に痩せて肌が綺麗になるから、あきらめていた服が再度着られるようになる。月々の出費から酒代が消えるのも嬉しい。
大宴会ができそうなほど在庫のあるビールやワインは勿体ないので、よその家での飲み会に提供しよう。そのときには「1杯だけちょうだいね」とグラスを差し出して、チビリチビリとね。一生分を飲んで打ち止めでは?なんて皆に笑われそうだけど、私のストレスはアルコールが生み出していたんだと気付いたのが今年いちばんの収穫だった。
追記:12月12日
週半ばにお付き合いで少しだけ飲んだ。あまり食べなかったので、帰宅してから冷蔵庫を開けたくなったけれど、シュガー抜きのジンジャーティーでお腹をごまかして寝た。後悔の念に駆られない目覚めは、なんだか得した気分。あごのたるみも無くなって、朝の洗顔が楽しみになってきた。
追記:12月27日
飲み会では3杯までどころか、グラス一口になった。それで疎遠になるなら、所詮お酒が取り持つ縁だったのだと心に言い聞かせる。大掃除の季節が来ても、冷蔵庫に詰まった缶ビールや戸棚に並んだワイン、焼酎などはあえて放置。目に付かないようアルコールを捨てるのでなく、誘惑に負けない精神力を鍛えるのが主眼だからだ。
節酒から断酒へと上手く進んだら、次に断つものをまた決めよう。裸で生まれてきて、何も持たずに死んでいくのが人間。せめて生きざまだけは実りあるように、整理すべきものが山ほどある。
追記:
つらくて苦しい時期を乗り越えて、2016年5月からファッションブログをスタートした。なぜって断酒により身心ともに変化して、顔も体形も別人のようになったから。
年齢だって正々堂々と言えるようになり、「歳を隠すのをやめました」で最初に書いた記事がこれです。
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