いくら鏡をのぞいても、自分自身では見られない顔がある。「寝顔」と「死に顔」だ。無意識の自分がどんな表情をしているのか、見るのも見られるのも不安である。
以前、あばたもえくぼの逆バージョンの経験をした。ベッドで隣に眠っている恋人の表情が、起きている時とは全く別人なのに驚いて、息を殺し10分ぐらい眺めていたことがある。瞼の皮膚は弛み、眉間に皺を寄せ、口をぱっくり開けてイビキをかいている表情は、ヒトというよりもシーラカンスに見えた。起きている時はダークスーツで威厳を保ち、満面の笑顔で周りと接しているのがフェイクに思えて、人格まで疑いたくなったのである。
結局は寝顔の方が正直だということが分かり、私利私欲の欺瞞行為も露呈して、その彼とは別れてしまった。「欠点をどうして愛しいと思えないのか?」と責められたが、シーラカンスは騙せようもない。
顔について考えていた時、偶然見ていたトーク番組で、ピーコがしみじみと語る半生に感動した。眼がガンになって摘出手術を受けてから、一旦死んだ命だと思い、これからの生き方を変える決心をしたというのだ。それは自分の優先順位を一番最後に置くこと。まず先に人の幸せを願い、積極的にボランティア活動に参加しているうち、周りの人から「顔が綺麗になったね」と言われるようになったという。ピュアな想いが潜在意識に浸透したからこそ、何気ない表情にも変化が現れたのだろう。
「今の私は、どんな寝顔かしらね?」
答えてくれるのは隣で丸くなって寝ている猫の与六しかいないが、逃げ出さないところを見ると、あながち恐い寝顔ではなさそうだ。いつか永遠の眠りが訪れた時、納棺師に修復されることなく、穏やかに微笑んだ死に顔でいられたらいいなと思う。それまではあの世にまで持っていけない我欲を制し、心の未熟さを軌道修正する日々が続くのみである。
コメント
誰しも恋人に付ける条件というものありますよね?
寝顔が嫌いだと思った恋人はいませんでしたが、性癖が嫌で自分から別れを切り出した男性がいました。
いくらキレイ事を言っても世の中男と女しかいないので、生きている限り、避けて通れないのが体の関係ですよね。
趣味が違うようにHも好みがあります。
人に言えば「え~!!」と驚くような行為でもお互いが好き好んでやっているなら問題はないと思います。
けれども、相手が嫌がるような行為をしたり、強要するのは耐えがたい暴力みたいなものになってしまいますよね?
最近「好き」と言う事に拘っています。結局「好き」でないと愛する事もできないような気がします。
marie様
どこで間違った情報を仕入れたのか、勘違いというか独りよがりなHをしたがる男っていますよね。プライドを傷つけると悪いので、女性の立場としては何も言えませんが、嫌なものは嫌です。そんな溝が広がっていって、やがては渡れない川になるんでしょうね。
的は逗子の素浪人様
ぎこちない「愛してる」に比べて、「好き」の方が直観的な言葉だと思います。頭であれこれ考える恋愛は、赤い糸とは程遠いんじゃないでしょうか。
IS03からウォッチさせて頂いていますが、男性のブログより男性的(誉めてます!)で読
みこんでしまいます。
本件はWikipediaの人気記事ベスト10にあった、「不気味の谷現象」を思い出しました。
(あ。人気ベスト10の中の「三毛別~」は読んではいけません。←釣りではありません。)
IS03は諦めました…。
メメント杜様
読んではいけないと言われると、読みたくなります。
食人熊の肉を、犠牲者の供養のために煮て食べたというくだりにオェーッ・・。
今夜の食事は魚にしておきます。
うーん。読んでしまわれましたか。
宇宙人が地球人を攻撃するときはこの手を使うで
しょうね。「浦島太郎」はそのための警告書として
作られたのでしょうが、現代人にはもはや効果が
ないようです。
メメント杜様
ワーカホリックの友人は「一気呵成に歳を取って、とっとと死にたい」が口癖です。ぜひとも玉手箱をプレゼントしたいと思うのですが、実年齢より老けた容貌は、すでに玉手箱使用済みかも・・。