昔の自分に学ぶ未見の我

スポンサーリンク

古い段ボール箱を整理していたら、端が茶色く変色した楽譜を見つけた。『冷たい雨の中で』というタイトルの横には、Yuriko Odaのサイン。17歳のとき、生まれて初めて書いたスコアだ。Vo(ヴォーカル)の下にはF.G、E.G、Sy、Pi、Drと楽器別の演奏譜が並んでいる。

初めてのスコア

高校3年の1学期に大学への推薦入学が決まった私は、これまで続けてきた受験勉強が宙に浮き、父に買ってもらったフォークギターの練習を始めた。シンガーソングライターを目指した第1作目をヤマハ音楽振興会に送り付け、幸運にも作詞で著作権契約を結んだ経緯は「作詞家になるには・その1」に書いた通りだ。

「作曲はもっと勉強する必要があるね」と、見学に連れて行かれたヤマハ作編曲教室。ドアを開けると生徒たちが楽器を手に録音中で、「君キーボード弾ける?」とシンセの前に座らされたのが、有無を言わさない入学の日となった。

 

作曲を習いに行ったつもりが、アレンジャーの林雅諺先生に教えられたのは音楽理論と編曲。上記のスコアは2回目のレッスンの宿題で、周りを見よう見真似で書いたものである。素人まるだしな演奏のわりにコード進行が複雑なのは、拙さを見破られないように背伸びしたのだろう。

 

作詞家になってからは譜面を書くことはなくなり、音符を見るのは曲先(メロディに詞をはめこむ作業)の時だけ。ティーンエイジの頃に湧き出ていたメロディも、下手は下手なりのコード進行も、鍵盤を走る指も、すっかり錆びついてしまった。「難しい」「恥ずかしい」「忙しい」を理由に、退化した自分に茫然とする。

 

久しぶりにキーボードの電源を入れ、ぎこちないメロディを弾いてみた。夢は必ず叶うと信じていた時代が懐かしくなり、そして気付いた。私は歳を取ったけれど健康だし、ボケてもいない。死ぬまで現役。音楽はもちろん、文章書きだってゴルフだって、途中で投げ出したものを再開できる余裕はまだまだあるのだ。

 

吉田松陰の言葉「未見の我」は、自分の持っている能力をいかに引き出すかで出会える未来の自分。他者と比較して縮こまる必要はない。ライバルは人一倍努力していた頃の自分だと、古い楽譜が教えてくれた。あのバイタリティを取り戻さなきゃ。夢を見ることのリハビリから始めようと心をけしかけている。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    「夢」もう一度見るぞ~!

  2. また 遊びに来てくださいね

  3. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    もう一度といわず、何百回でも見ましょう。苦しい夢なんてありませんからね。

  4. yuris22 より:

    ハミングバード様

    分かりやすいレッスンをありがとうございました。あれから打ちっぱなしに行きましたが、頭では理解できても、まだ身体が付いてきてくれません。もっと練習して、またグチャグチャになってきたら門を叩きに伺います。その際はよろしくお願い致します。

  5. MARK AKIYAMA より:

    このサイト、見つけました!

// この部分にあったコメント表示部分を削除しました
タイトルとURLをコピーしました