小家族の我が家では、料理を銘々皿に取り分けて出すのが習慣だった。
それが当然と思っていたことが崩れ去ったのは、結婚相手の実家での食事である。
どかんと大皿に盛った料理を、大人も子供も唾のついた自家箸でつつくことへのショック。
私はどこのお姫様でもないというのに、家風の違いを盾にとって離婚を申し出た。呆れられて然りの身勝手さである。
そして今は・・大皿へみんなで箸を出すことに抵抗はないけれど、エイヤッ!の意気込みは未だに少しだけ必要だ。
それが恋人とならどうなのか? 自分の愛情度に気づく重要なバロメーターにもなっている。好きなら可能、嫌いなら不可能という単純な二者択一だ。
同棲ではあったけれど、腕枕をされると絶対に眠れない相手がいた。
彼は私のペットボトルを取って、ゴクゴクと水を飲む。そうすると私は二度とそのボトルには口を付けられなくなるのだ。
朝になると不機嫌な彼。「こんな女はいないよ!」と罵られることに、背中で溜息をついた。
言葉にできない理由は透けて見えるほど簡単。愛していなかったからで、すぐに別れが来た。本心は悟られたくなく、でも相手を傷つけたくなく、無理を推し進めた生活。破綻するのが判りきっていた刹那。
そんな失敗を経験して、誰かを好きになろうとする時はまず考える。
同じペットボトルの水を分かち合って飲めるかどうか。もっと言えば口移しで飲めるかどうか。
どこの他人とだって平気さと言う人もいるだろう。
お墓を共にする亭主とだってゴメンだと言う人もいるだろう。
これが災害下だったらどうするのだ!不謹慎だ!と怒る人もいるだろう。
ヤバイな、今日はかなり生々しい話になってしまった。
でも人間たるもの、食べて排泄して眠る毎日は生々しい。
しかも身体でペットボトルで共感度を確かめ合う男女は、もっと生々しくて腐りやすい。
白状する。何度も恋をしてきたけれど、恥ずかしくて恥ずかしくてこの歳でも言えない言葉は「愛してるわ」。
「あい」を口に出した途端にもキャーッ!!の世界だ。
そんなこんなでも将来、愛を築いていく相手への予告。
自動販売機でペットボトルの水を買う時、「1本でいいね?」と聞かれたら、返事の代わりに彼の腕に手を回そう。
それは私の究極のボディランゲージだと知り、肩を抱きしめて貰えたら幸せである。
コメント
σ(^ー^;)は平気ですw
武道をやっていた時は、他人の汗の染みこんだ道着を
借りることもあるし、寝技なんていったら
汗だくの野郎同士が裸で、、、(爆
自分の子供の食べ残したものや
食べかけを口移しで貰ったりとかすると
女房殿にはゲテモノとか言われますが
勿体ないんだものwww
育ってきた環境なんでしょうねぇ。
育った環境もそうかも知れませんが、性格も影響しているのでしょうね。潔癖症?
僕も子供の頃は、絶対他人(家族含む)の唾液が付いたものは駄目でした。同じコップで飲み物を飲むなんて論外!
でも、いつの間にかだいぶ軽減して来ました。ほぼ、気にならないかな?酔っ払っていれば、全く気になりません。(^^;
こまちゃん
>寝技なんていったら汗だくの野郎同士が裸で、、、
男同士がぬるぬるの汗を塗りたくりあうのですね(笑)。
フィットネスクラブのジムで、マシンの汗を拭かずに移動する人がいますが、
バッチくて許せません。
クリちゃん
下に落ちたものを拾って食べるのは平気なので、潔癖症ではないんでしょうね。
この人と間接キスするんだ~と思うのがイヤなのかも。
じゃあ直接ならいいってか(爆)
yuriさんの気持ちわかる様な気がします。
結婚相手の実家で感じたことも。やはりどこかでそのダンナさんを受け入れていなかったんじゃないかと思います。まあでも、ダンナは受け入れてもその家族までと間接キスをしたいとは思わない、正直嫌ですけどね。
>自動販売機でペットボトルの水を買う時、「1本でいいね?」と聞かれたら、返事の代わりに彼の腕に手を回そう。
>それは私の究極のボディランゲージだと知り、肩を抱きしめて貰えたら幸せである。
すっごく伝わります。それが相手を受け入れるということですね、きっと。僕もそうして肩を抱きしめてあげられたら本物なのだと思います。
いろいろあって、僕もそういう人を探し中です(笑)
ではではよいお年を!
たけぞう様
もともと愛がないから、唾がついたものを共有できないって事なのですよね。
言葉よりも身体は正直です。
>いろいろあって、僕もそういう人を探し中です(笑)
なんだか意味深ですね。
この短い一生のうちにソウルメイトに出逢いたいものです。
小さい頃は回し飲みが出来ませんでした。母親がそうだったのでその影響でしょう。
でも、男の世界でそれが出来ないと生きていけない(?)ので中学位から出来るようにしました。
でも、正直今でも少し抵抗があります。
しかし、好きな女性のなら全く気になりません(笑
気になる女性がいるんですが、ぼくのグラスを平気で口にしたり、彼女が食べていたアイスを普通にぼくに味見と奨めたりします。
ぼくにとってはうれしいサプライズな訳だったのですが、女性にとってはどうなのか非常に気になっていたとこでした。
「愛」と「唾」 じつに面白い対比です。
愛は脳の高次機能が司る人間的感情・・・精神
唾は動物の生存に欠かせない肉体的機能・・・物質
他にも色々あるけど、いずれにせよ
人は二つを何を鍵にして選択的に結びつけるのか?
ちなみに私は何でもOK。
でも死ぬまでには、ソールメイトの肩を両手でしっかりと摑み目を見つめ「愛している」とはっきり言いたいな。
波に乗るさかな様
私が勝手に想像するに、その彼女は少なからず好意を持っていてくれんじゃ
ないかな。
自分が食べかけのアイスを誰かに・・って、私には勇気が要る行為ですが、
愛してる人に対してなら難なくできるかも。
期待大だと思いますよ!
髪結いの亭主様
「愛」と「唾」から連想したのですが、キスの交わし方も個人差がありますね。
『男と女』という名画の中で、主人公たちのキスシーン。
唇と唇の間を細い糸がひいていたのはビックリしました。あれは「愛」なのかなあ。