八重洲口から丸の内口まで

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今日は銀座での打ち合わせの後、中央通りを歩いて東京駅に向かった。京橋を過ぎ、交差点を左に曲がると白いラッピングをかけた大きなボックス。その両側には銀色の高層ビル。工事中が続く八重洲口は背高ノッポの助手を左右に従えて、マジシャンが一気に布をめくるのを待っている玉手箱のようだ。

東京駅
東京駅2

構内に入って目指すホームに辿りつくまでは、液晶の画面をちょこまかと動くゲームの主人公になる。タイムを競うようにストライドを広げたビジネスマン。旅行カバンをゴロゴロと引きずって直前を横切る旅行者。いきなり立ち止まってマップを広げる外国人。ぶつからないように爪先を斜め右左と向けながら、見知らぬ背中に続いて進んでいく。

丸の内側への階段を降りると、すぐに確かめるのは横須賀線の発車時刻。ああ良かった、あと7分もある。秘密基地へ下っていくような長いエスカレーターの左側に立って、弾んだ息を整えながら携帯メールを早打ち。電車に乗れば品川駅まで電波が通じなくなるので、急ぎの連絡は今のうちに飛ばしておかなくてはならない。

アナウンスが流れて車体がホームに停まり、ぞろぞろ吸い込まれいく蟻の戦隊。ドアが閉まって目を閉じれば、今日一日の雑踏は後ろに飛び去り、朝乗った駅までワープする。

隣の席では缶ビールを一口飲んで、プハーッと息を吐く中年サラリーマン。人を押しのける戦闘を毎日繰り広げて、家に戻ればダイニングのラストメンバー。ラップのかかった料理が「お帰りなさい」と待っているのだろうか。

若返る東京。生まれ変わる東京。でも行くたびに歳を取るのは何故だろう。リニューアルされる玉手箱の中身は、くたびれたグレーのスーツに身を包んだマジンガー・浦島太郎たちに見えた。

コメント

  1. 風小僧 より:

    yurisさん、今日、高校の合格発表でした。

    全員、9名合格しました。
    内4名の不登校の子も自分の希望する高校に行けました。
    ご声援頂き感謝です。
    この塾生たちが多くの人との出会いによって、いづれ
    この社会をコツコツと変えていける人になって欲しいと思います。
    グレーのスーツに身を包むことがあっても、赤々とした心で生きて行って欲しいと思います。
    私も赤々とした心で、これからも今の仕事を続けていきます。

    御礼!

  2. yuris22 より:

    風小僧様

    全員合格!素晴らしい快挙です!!
    みんなが新しい環境でページを一新し、新しい自分に出会えることを祈っています。
    教育のお仕事は私など想像もつかないほど気苦労が多いと思いますが、毎年心の中に未来が楽しみな財産が増えていくのですね。本当におめでとうございます!

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