小坪トンネルとお化け踏切

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うちの近所に、お化けトンネルとして有名な小坪トンネルがある。鎌倉から逗子へ向かう山中にある名越トンネル群(名越隧道、逗子隧道、小坪隧道)の1つであるが、学生時代によくボーイフレンドと肝試しドライブに来たものだ。彼はおそらく「キャーッ!」と抱きつかせるのを狙ったのだろうが、フロントグラスにペタッと張り付く手も、バックミラーに映る幽霊も見たことがなく、おそらくマスコミが作り上げた都市伝説なのだろう。

浅田次郎の短篇にも登場した。
「トンネルの真上に火葬場があってね、それでときどき車の脇を、おばあさんの生首が飛ぶんだって」(浅田次郎『夕暮れ隧道』より抜粋)

小説の主人公が後で気付くのは、もうひとつ別にある小坪隧道こそがお化けトンネルなこと。材木座と小坪の間にある、昼間は一方通行の真っ暗なトンネルは、入り口に「隧道工事殉職者慰霊碑」が建ち、いつも花が添えられている。実はこれも我が家の近くにあるのだが、歩いて抜ける気はしない。薄気味悪いだけでなく、車が来たら跳ね飛ばされそうに狭いからだ。さすがに自分が幽霊にはなりたくない。

そんな話を持って、久しぶりに逗子の立飲屋・三遊亭に行った。マスター曰く、霊感の強いお客さんで、雨の日には必ず幽霊を見る場所があるという。くだんの名越トンネル群を抜けると、右側に病院があり、その向かいに横須賀線の踏切がある。そこには白い傘をさした女性が立っていて、電車が来ると、スーッと吸い込まれて消えてしまうというのだ。

さて今日は、これから小坪トンネルを通り、病院前の踏切を渡って、鎌倉霊園の墓碑が並ぶ朝比奈峠を越えて東京へ。トンネルの上の火葬場は祖父が煙となり、鎌倉霊園には祖父母が眠っているので、夜でも怖さは感じない。とりあえずは踏切ね・・と注意しながら、猛暑を涼しくする怪談話はまた明日も続きます。

コメント

  1. Terry より:

    このトンネル、お化けは出ないでしょう。
    地元民は夜でも歩いて渡っているというし、
    昭和21年か20年に消防署の人が3夜
    張りついて見張ったけどお化けは出なかった
    と雑誌か本で読んだ事がありました。
    (90年代に出た本だったと思いますが)
    事の始まりは、75年にハワイ生まれの
    キャシー中島というタレントが、TVで
    そのハナシを披露して広く広まったという
    モノです。ロケーション的に上が火葬場
    だそうで、そういうモノも効果を上げたの
    ではないか?と。お化けトンネルというモノを
    見れば、多分メジャーどころが10位あると
    思いますが、ホントに【出る】と言えるところ
    は半分ないでしょうね。普通に通っても何とも
    ないが、場合によっては【出る】という所も
    あるといいますよ。

  2. yuris22 より:

    Terry様

    このトンネルを日常に使っている側からすれば、物の怪の気配は全く感じません。ただし歩いて通るには、歩道が狭いし息苦しいですね。
    トンネルに限らず、マスコミが騒ぐ心霊スポットは数知れずありますが、視聴率稼ぎの都市伝説と思えるものが殆どです。

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