双子座流星群と巨漢の猫

広告

引きつるような肩の痛みが続いている。原因は与六。私が布団にもぐった頃にやってきては「ニャ」と呼びかけ、ポンポンと顔を叩く。腕枕の要求なのは分かっているけれど、寒いし眠いので何度叩かれても無視していると、肩の上で香箱座りになって眠り始めるのだ。この重さが毎晩続くと痛みで腕が上がらなくなり、昨日は整体院に行ったものの、「どうされましか?」と聞かれて事情を話すのがとても恥ずかしかった。

凝りをほぐして貰って少し楽になった昨夜は、1時間に50個の流れ星が見られるという「双子座流星群」のスペシャルデー。新月なので空の主役は星たちであり、漆黒の闇は劇場の緞帳みたいに町の灯りを覆い隠している。雲ひとつない東の夜空に目印となるオリオン座、その左上に双子座のカストルとボルックスが煌めいている。

新月の夜景
12月14日午前0時過ぎ。パジャマにダウンコートを着て、2階のベランダに出した椅子に腰かけた。星が流れる一瞬を狙って願い事をすべく、まばたきも惜しんで夜空を凝視していると背後に気配を感じる。ガラスに鼻を付けた与六が「ボクも出してくれぇ」と見つめているのだ。最初は可愛く小さな声で「ミィー」と鳴いていたのが「アーン、アーン」、やがて「ウギャオオーン!」と怪獣のようにおどろおろどしい鳴き声になっていく。

外に出してもいいけれど、目を離した隙に屋根から逃亡されると困る。そこで思い出したのが以前買っておいた猫用ハーネスとリード。これを着せて散歩させるのは無理だったが、ベランダでちょろちょろ遊ばせるには便利かも。ところが猫の身体の不思議な構造、どんなにきっちりマジックテープを閉めようとスルリと頭から脱いでしまうのだ。しょうがない、抱っこするしかないか。

与六
脱いでやる
再びベランダに戻って星空ウォッチングは続く。しかし巨漢の猫を1時間も抱えていると腕はしびれ、頭上にある星座を見上げているせいで首の後ろもしびれる(二重あご防止には良いかもしれないが・・)。満足のいく流れ星を見るまでは我慢しなきゃ。一つ一つの恒星に向かい、先に逝って星になった人たちの名前を呼びかけていると奇跡が起きた。願い事を文章にしてきちんと3回唱えられるほど、ゆっくりと長い距離を流れていく星が現れたのだ。

大満足した後は心も広いぞ。性懲りもなく与六の全体重を肩に乗せて、猫のひげにくすぐられながら眠る夜は当分続きそうである。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    与六殿の写真は、笑いが止まりません。
    梅星とんだ~~~!
    僕も髭になろうかな、ふふふ・・・。

// この部分にあったコメント表示部分を削除しました
タイトルとURLをコピーしました