雨の音が静かになったと思ったら、一面の銀世界。室内では与六が窓から窓へと走り回って賑やかな運動会を繰り広げている。
ベランダの植木鉢を取り込もうとしたとたん、するりと飛び出て頭をブルブルッ。昨年2月末に降った時は私の目をかすめて外に出て、何時間も雪の上をウロウロしていた与六だが、学習能力がないままに「白くて冷たい不思議な物体」を楽しんでいる。空から舞い落ちてくる雪の一片一片が生き物に見えるらしく、カカカッと鳴いてみたり野太い手でキャッチしようとしたり、被毛が濡れるのもお構いなしだ。
「もう終わりっ」と窓を閉めても諦めきれず、曇ったガラスには梅の花みたいな肉球の跡が増えていく。
天気予報によると関東地方は大雪になるらしい。夜まで降り続けば丘の頂上にある我が家は陸の孤島になる恐れが大きく、雪かき用のスコップを管理人室まで借りに行く道すら歩くのは四苦八苦だ。
普段から静か過ぎる環境なのに、今日は雪の沈黙に包まれて無音状態の白い午後。パソコンに向かっていると足元から小さなイビキが聞こえてきた。いつの間にかホットカーペットに丸くなっている与六は満足そうな寝顔で、雪を沢山捕まえた夢でも見ているのだろうか。
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