君じゃなきゃダメなんだと言われるために

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東京はソメイヨシノが満開になったらしいが、今年はまだ近所の桜さえ見ていない。書斎の窓が明るくなったのを感じ取って、朝7時にベッドに入る昼夜逆転の生活。友人からゴールデンウィーク恒例となったBBQのお誘いが来たけれど、参加できない確率の方が高い。

毎日チェックしている占いのページに、まるで今の私に向けたようなアドバイスが載っていた。
「厄介な事を頼まれることが続き、苦労をします。議論をするよりも実際に行動すれば、成果があります。」

もがき苦しんでいる原稿書きの傍ら、何かと頼まれごとが多くて困っていた矢先のお告げである。「申しわけないのですが、今は多忙のため・・・」とメールを書き始めて、ふと指が止まった。先延ばしの言い訳を考えている間に、さっさと片付けた方が早いからだ。かくして電源を入れっぱなしのパソコンは、WORDの裏にIllustratorを立ち上げて、原稿を書きつつお絵描きもするという二足の草鞋状態になる。

こんなに働いてるのに、ちっとも儲からないのはなぜ?
『10年後、君に仕事はあるのか?』(著:藤原和博 ダイヤモンド社)という本を読んで、目が点になったページがあった。「1時間あたりに生み出す付加価値」として、職業による時給が計算された表が載っている。なんと日本人の時給には100倍もの差があるのだ。

高校生がコンビニのバイトで稼ぐ時給が800円前後。プログラマなどIT系(非常勤)が2,000円。サラリーマン、公務員が3,000~5,000円。専門家が10,000~30,000円。マッキンゼーなど世界レベルのコンサルタントが80,000円だという。

時給の高さに関連しているのは「技術」と「熟練度」。もっと大きな鍵を握るのは「希少性」。需要が大きくて供給が少ない、「君じゃなきゃダメなんだ」という仕事こそ、労働市場の中で価値がある仕事らしい。

だとすれば、あながち私は間違った方向に行っていないはずだが、儲からないのは効率が悪いせい? いや、スタートが遅すぎたせい?

それでも手に職があるだけ良かったなあと思いながら、本音を言えば今からだって永久就職したいこの頃。とりあえずは健康と美容とファッションだけは面接合格ラインを保っていようと、「君じゃなきゃダメなんだ」のオファーに備えている。

flower

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