捨てる企業と拾う企業

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日産自動車が国内の派遣社員2千人と、期間従業員50人の契約を来年3月末までにすべて打ち切ると発表。非正社員はゼロになるという。
政府が来週にも発表しようとしている来年度の経済見通しはゼロ成長。坂道を転がり落ちるように経済悪化が進行していく中で、クビ切りをした派遣社員たちに次の雇用先をどうやって見つけろというのだろうか。

厚労省は派遣労働者の雇用安定を図る措置として、「派遣先が派遣契約期間の満了する前に派遣労働者を解約する場合、派遣先は派遣先の関連会社で就業を斡旋しなければならない 」と平成11年(平成15年最終改正)に通達を出している。

しかし金策にあえぐ企業側にとっては、斡旋できる関連会社があるくらいならクビ切りなどしないのが実情だろうし、政府が打ち出す緊急雇用対策は焼け石に水だ。

ところが「捨てる神あれば拾う神あり」。一方ではパートの希望者全員を正社員化するLOFTや、未経験者中心にタクシー乗務員500人の募集を始めた国際興業グループといった企業もある。拾う神の両社とも目的としているのは「幹部候補として優秀な人材を確保すること」だ。
いつか景気が上向いて人材不足となった時に、会社の底力になってくれるのはスキルがあり、恩義を感じて忠誠心を持つ社員たちだろう。

受注が落ちた分、増えたのは時間。派遣社員たちのデッドエンドまでに、彼らを「デキる人材」として再教育する時間はたっぷりあるはずだ。

私がF通の講師としてプログラミングを教えていた頃、全国各地の工場から集められた社員たちにIT講習をする役目を仰せ付かった。今まで工場で部品を組み立てていた女性は、生まれて初めて作ったホームページに目を輝かせ、早くスキルが身に付くようにパソコンを購入すると宣言した。
当時はF通の経営が傾いていた時代で、陰ではクビ切り講習とまで言われたけれど、一方では社員たちに手に職を持つ夢を与えたことになる。

企業も人も一人では生きていけない。問答無用で切る前に、互いの活路を見出す方法がないものか。お金ではなく、頭と心を使う時期が来ているのではないだろうか。

コメント

  1. こまちゃん より:

    ウチの会社では、慢性的に人材不足なんで募集広告は沢山出してます。
    他所にも沢山あるみたいですね。
    本当に働く気があって、選り好みしなければ仕事は有るんですよ。

  2. yuris22 より:

    こまちゃん

    素晴らしい。良質な会社なのですね。

    悲観論が先に走りすぎた現況を改め、マスコミに流して欲しいのは明るい話題だと思います。売上が減収している会社だけでなく、増収している会社も取り上げるとか。働く意欲に結びつきます。

  3. 風小僧 より:

    yurisさんのコメントへの回答と同じことを書こうとしていました。
    マスコミはどこへ連れていこうとしているか分かりませんね。
    心が明るい方向に向けれる報道もしないと、良い気が起きてきません。
    気運というのは人間の心の向きで変化するものと思っています。
    全国で求人募集をしている企業名を全てリストにするとか、燃えている火に油を注いでいるような報道は避けて欲しいと思います。
    ただし事実は事実としての報道も当然必要ですが。
    報道とはなんでしょうかね。

  4. yuris22 より:

    風小僧様

    広告収入が激減したマスコミは、限られたスポンサー獲得のために四苦八苦しています。
    そのスポンサーは消費者が振り向いてくれずに四苦八苦しています。
    消費者は企業に首を切られて四苦八苦しています。それをマスコミが報道します。
    この悪いループを断ち切る主導者はどこにいるんでしょうね。

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