大人になった鍵っ子

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人の心の中が素通しなくらい見えてしまうことがある。
たぶん昔から五感を研ぎ澄ましていたせいだろう。

私は一人っ子で、幼稚園の頃から両親が共働き。
父が帰宅するのは週末のみ。母も帰りは深夜であったり、時には帰ってこない時もあった。
中島みゆきの歌の如く、ひとりが好きなわけじゃないのに「ひとり上手」だ。

木枯らしの吹く冬の夜、どんなに布団に包まれても身体が凍えている。
2階の窓から外を眺めて、近づいてくる車のライトが家の下で停まってくれることを願った。
何台もやり過ごし、諦めかけた頃に母の車が帰ってくる。
私は慌てて布団にもぐって玄関の鍵が開く音に耳を澄ませ、うっすらと感じる母の匂いに安堵して眠りについた。

大人になってからもその習性は変わらない。
家族や恋人、愛する人を待っているとき、今でこそ携帯電話やメールで「今どこ?」の確認が出来るが、外の気配を確かめずにはいられない。
子供みたいで照れくさいから、忙しくて気付かなかった振りをしているけれど。

鍵っ子は人恋しい。
だから誰かと話すとき、相手の目を見る、声を聴く、心に触る、匂いを感じる。
そこに嘘や邪悪が見えると、ギクシャクとした会話になる。口に出していいものか躊躇するのは、恐い人だと言われたくないからだろう。

今日は金曜日。沢山の窓に家族の灯りがともる夜。
友達から貰ったジャガイモで「肉じゃが」を作ろうかな。
懐かしい匂いの中にお腹をすかせ、満面の笑顔で帰ってくるのは誰だろう。

コメント

  1. besnow より:

    こんにちは~。yuris22さん☆
    Profileの写真が変わりましたね。
    一瞬、あれURL間違ったのかな?
    ・・って思いました(笑)
    なんだか、以前の写真とはイメージが違いますね。
    新しい写真は・・・
    今日のブログの「肉じゃが」を作り、
    家族の帰りを待つ、yuris22さんのイメージ。
    とはぴったり感じますね。(笑)

  2. yuris22 より:

    besnow様

    おすまししてる写真よりも、すっぴん自然体の方が
    私らしいかなと思いまして。

    ちなみに肉じゃがは「塩肉じゃが」にしました。
    お砂糖なしで塩・胡椒のさっぱり味。
    用はお酒のつまみです(^_^;)

  3. たけぞう より:

    「腹減った!」(しばし食べる)「うまいな、うん!」
    って、ただそれだけ言ってくれる相手が見つかりますよーに。

  4. yuris22 より:

    たけぞう様

    逗子に引っ越してから料理のレパートリーが
    増えました。
    主役は新鮮な魚と鎌倉野菜。
    大量に作った方がもっと美味しいので、10人
    ぐらいの大家族だったらいいのになといつも
    思います。

  5. 詩人たそがれ より:

    「ただいま!!!」
    夕飯なに?

  6. yuris22 より:

    詩人たそがれ様

    お帰りなさい。
    今夜は「鯛の酒蒸し」です(^^)

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