今更ながらシングルベル

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クリスマスソングを聞くたびに、幾つになっても胸が切ない。

私の仕事場は有線を引いているのだが、デフォルトで設定してあるC11(ラブバラード・洋楽)からは今月、クリスマスソングの流れる比率が殆どを占めている。
それも賑やかなジングルベルではなくスローな愛の歌ばかりなのだから、独り者としては居たたまれなくなって当然だろう。

コーラス部に属していた中学生時代、養護施設に歌の慰問に行った帰り道に、なけなしのお小遣いでシクラメンの鉢を買って帰った。
花屋の店先で魅了されたピンクのかがり火は、母の心をほんの少しでも暖めてくれるのでは?と思いついたからだ。
たぶん今夜も愛人のもとから帰ってこない父を、諦めて溜息をつくクリスマスイブ。

その当時の私はお菓子作りを趣味としていて、未熟な技術を振り絞ったクリスマスケーキを焼いてみたものの、食べる頃にはスポンジがカチカチに固まっていた。
「失敗だったね?」とお伺いをたてれば、「ドイツのケーキみたいでいいじゃないの」と笑う母。
サンタクロースが来ないのはとっくに知っていた年頃でも、母のためにせめても父親だけは帰って欲しいとお祈りをした。

そして奇跡は起きて、深夜に車が止まる音。こんな時間にありえないドアノブが回る音。
私は布団で夢うつつだったけれど、久しぶりな父の声が階下から聞こえてくることに安心して毛布を深く被った。
たぶんこれがサンタクロースの家族へのプレゼント。一人っ子の小さな部屋だって、なんて暖かい空気に満ちているのだろうと幸せな夢を見た。

さてそれからウン十年の時を経た私。いまだにクリスマスどころか大晦日もシングル除夜の鐘かよーーー(;_;)。
今年も似たような時系列を歩みそうだけれど、いいんだいいんだ(強がってないぞー)。

介護施設で天井を見ている父のもとに、幾つになってもワガママな娘が会いに行こう。
声が似ていると言われる母の面影をプレゼントに持って。
サンタクロースは嘘じゃなかったんだと、子供帰りした心が喜んでくれたら本望である。

コメント

  1. こまちゃん より:

    >声が似ていると言われる母の面影をプレゼントに持って。

    ウチでは次男と末娘の声が、女房に似ています。
    電話でしばしば間違えて笑い話にw
    下手な話は出来ませんwww

  2. yuris22 より:

    こまちゃん

    もしかして間違えて「愛してるよ~」なんて言ってしまったのですか?
    ラブラブな両親を持った子供たちは、大人になってもその精神を引き継ぐでしょう(^_^)

  3. 髪結いの亭主 より:

    かけるかなァ?

  4. yuris22 より:

    髪結いの亭主様

    この時間はシステムが混みあってるみたいですね。
    管理人でさえもコメントにレスを書こうとすると、ビジー状態で
    撥ね付けられることがあります。

    とりあえず有料のlivedoor proを使ってるのですから、見合った
    対策を考えて欲しいものです。
    ねっ、livedoorさん。

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