今このブログを書いているのは停車している横須賀線の中。
大船駅で人身事故が起きたので、運転を見合わせているという。
列車の増結が行われるのでほぼ間違いなく座れる逗子駅も、今日はラッシュ状態。
うだるような暑さにうんざりした常客たちが、まだ電車の中の方が涼しかろうと、吊革につかまってアナウンスに耳を傾けている。
「只今お客様の救出活動をしております。」
「新しい情報が入りました。救出活動は終了して、このあと係員による電車の点検と、警察による現場検証が行われます。」
現場検証か。まだまだ時間がかかりそうだと、周りから溜め息が漏れる。
30分待ってやっと動き始めた。
大船駅に近づくと「前の電車が車庫に入る作業を行っております。信号が青になるまでお待ち下さい。」でまた停車。
クーラーのサーモスタットか、グワ~ングワ~ンと地響きのような不快音が天井から伝わってくる。眉間に皺を寄せた顔が増えていく。
これだけの人々に迷惑をかけるとわかっていても、無くならない列車への飛び込み自殺。
ふらふらっと死神の誘惑に吸い寄せられていくのか、誰も救ってくれなかった絶望を火花と散らして多人数に復讐したいのか、それは当事者にしかわからない。
「電車が遅れて大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。」
人身事故は駅員のせいではないけれど、飛び込みや転落防止策を打ち出すことは出来ないのだろうか。
車掌が乗っていない地下鉄など、最近の駅では線路とホームを隔離する柵が設置されているのに、JRの駅では不可能なのだろうか。
朝夕のラッシュ時には溢れんばかりの人々がホームの端を歩き、電車がけたたましい警笛を鳴らす。ヒヤリとする瞬間のはずが、たぶん大丈夫と慣れていく。
パンパンに膨らんだエンドウ豆のさやのように、沢山の人生を詰め込んで走る電車。
派手な広告宣伝費をばらまくより先に、地道な安全対策にもっと経費をつぎ込んでほしいものだ。
コメント
もと鉄道マンに聞くと、事故はほぼ同じ場所で起こるそうです。無線連絡があると、何度も「やっぱりあそこか」と頷いたそうですよ。
せっかく生まれたのになあ。合掌。
今日の日…大船…船!観世音?連想したくない漁労民?…だとしたら!?でなければアンナカレーニナ?…。いつになっても、たったひとりをも救えないんですよね…世の中は…。因みにローカル線の乗降口のボタンを押したり、すれ違い待ち(単線)だったりも結構、焦らされましたよぉ。
素浪人様
心は昇天しても肉体は残る。
現場で対応に当たる鉄道マンたちは、さぞ居たたまれないことでしょう。
動き出した電車の中で、彼らに対しては本当にご苦労様ですと思っています。
muha様
このところ3回に1回位は、電車が急停止して待たされます。
誰かが線路内に立ち入ったとか、踏み切りで車が立ち往生したとか・・、どうしても
出席しなくてはならない会議がある時などは「動いてちょうだい!」と念じてしまいます。
でも会議より大切なのは人の命。
「安全の確認が取れました」というアナウンスは、何よりもホッとしますけれどね。