15歳に語った仕事人生

昨日はお昼から都内の女子校へ。セーラー服の中学3年生たちにキャリア・ガイダンスをしに行ってきた。「13歳のハローワーク」というわけではないが、各職業のプロたちが教室に分かれ、仕事の内容や必要とされるスキル、面白さ厳しさ、将来性などを講義する。

私が担当した業種は「WEB制作」。8年ほど前まではF通の講師として社会人にCGIプログラミングを教えていたが、久しぶりに立つ教壇で、しかも生徒はティーンエイジ。目の前まで接近して座り、まっすぐな視線を向けてくる彼女たちにこちらの方がドギマギする。

WEBを語るにあたってまずは実践から。テキストエディタにHTMLのタグを打ち、プロジェクタに色つきの文字や画像が映されると「わあ～っ」と歓声があがる。記号と文字の羅列がブラウザを通してホームページに変換されるのを、まるで魔法でも見ているかのように喜んでくれるのだ。

「好きなことを仕事にしたかった」。
私が文筆業をしながらWEB制作業も行ってきた理由を話すと、真剣な表情で女の半生記に耳を傾けてくる。一度も就職したことなく、離婚後に作詞家・放送作家になったこと。働きすぎて身体を壊し、自宅で出来る副業としてホームページ作りを始めたこと。スキルを上げ人脈を作り、何でもできる自分の会社を作ったこと。

振り返れば作詞も脚本もWEBページのコンテンツ制作も、私の中では物作りの天職として同一ラインなのだ。「今、挑戦していることは何ですか？」という質問に、誰にでも分かりやすく感動を与える作品を提供していくことと答えて、ぴったり1時間の講義を終えた。ちょっと格好良すぎたかな。

「ありがとうございました」と礼をした彼女たちが、賑やかなお喋り雀に戻って次の教室に移動していく。これからの人生たちと一緒に廊下を歩けたことが、私には何よりの報酬だ。

午後3時過ぎ、校門の外に出るとコートもいらないほど暖かい。
すぐ近くにある私の母校では、来月になると桜並木がピンクのアーチを作るだろう。短いスカートで歩いた、もう戻れないティーンエイジが無性に懐かしくなった。