人の心に住むためには・・

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私たちは屋根の下に住んで暮らしているけれど、人の心の中に住むにはどうすれば良いのだろうか。NHK映像ファイル『あの人に会いたい』に残っていた、今東光さんのインタビューは強烈だった。彼の家族の話である。

「死んだ親父は酒も煙草もやらない。勤勉で浮気もしなかった。それほどいい人だったから、家族で集まっても思い出話にすら上らない。いつも出てくるのは、意地悪だったおばあちゃんの話だけ」

「年寄りの意地悪ってのはヤンワリとくるんだ。民衆を集め辻説法した後、『つまらない話を致しましたが・・』と謙遜して言ったら、小さく『全くつまらない話でした』の声がする。誰かと思ったら家のおばあちゃんだった」

「人間はワガママして嫌われるくらいでいいんだ。あんまりいい人になるってのは考えもんだね。」
生来の喧嘩屋と称され、型破りな僧侶として有名だった昭和の怪人らしい至言である。

今東光さんが逝去してから33年。今やデフレスパイラルの経済、足の引っ張り合いの政局が続く日本には、あくの強い存在感を発する人が激減した。2050年には65歳以上の高齢者が50%を超えるというのに、未来のリーダーとなるべき若者には上昇志向がなく、絵文字メールを打ちながらユニクロのバーゲンに列をなす。坂本竜馬は大河ドラマで見るだけの存在となり、英雄とは億が稼げるスポーツ選手やタレントだ。

抜きん出た人たちに拍手を送る私たちは、十把一絡(じゅっぱひとからげ)のいい人になってしまいそうな・・。死んだ後に噂が七十五日も続かないうちに忘れ去られてしまいそうな・・。

今は一年の目標を立てる時期であるが、不安定要素だらけの日本で暮らすには、これまでの価値観を見直す時期かもしれない。ダイエットや禁煙、資格を取るといった目標はいつでも幾らでも掲げられるが、価値観はひとつだけ。自分の力で幸せになるにはどうしたらいいかを再考する機会だと思うのだ。

人を見るけれど人目を気にせず、人を愛すけれど人に頼らずの心がけが、人の心に住むことではないかと考えている。

コメント

  1. marie より:

    「幸せ~って、何だぁっけ何だぁっけ」
    キッコーマンのコマーシャルで明石屋さんまが歌っているフレーズを聞くたびに「ホントに何だろう?」と思っています。
    愛の形が人それぞれ違うように、幸せの形もみんな違うと思う。
    数年前も今も女性が結婚に求めるものはみんな「幸せ」である。誰もが結婚する時は幸せを感じ結婚するはず。
    しかし、長い間で夫婦に亀裂が入るのもしばしばで、不幸だとか感じる夫婦も少なくないと思う。
    そうやって問題が起きた時に話し合い解決するか、努力もせずに離婚するか、家庭の不満を不倫で憂さ晴らしするのか・・・?
    本当に難しい問題である。そもそも夫婦や恋人は他人の結びつき。
    夫婦に限らず、世間の人間関係もですが相手を変えるのは基本的に無理。やはり自分の考え方を前向きに考え、相手に依存し過ぎないのが一番の幸せかもしれません。

  2. yuris22 より:

    marie様

    女の性(さが)かも知れませんが、男に頼れば楽になれると思う時があります。でもその相手が尊敬できる人物でないと分かった時、価値観の置き所には悩みます。自分に嘘を付いて依存するより、苦しくても自由な道を選んだほうがいいのかと・・。
    結局後者を選びましたが、今のところ全く後悔はしていません。それはこれからの未来が開けていくことだと思いたいですね。

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