逃げるに逃げられないゴルフ

朝方から窓を打ち付ける激しい雨。バードウォッチングの「カカカカ」が出来ない与六は、暇を持て余して、飼い主の邪魔ばかりする。キーボードに伸びてくる猫の手を払いながら、原稿書きは遅々として進まない。

そんな折に友人から、ゴルフの練習に行こうよの電話が来た。
「えーっ、こんな大雨なのに」と逃げ腰の私に、屋根があるから平気、夜になれば小降りになると強気な姿勢だ。

本音を言えば雨のせいではなく、ゴルフから逃げたい理由が2つある。1つは過去に練習場で大恥をかいたトラウマ。もう1つはクラブをレフティ用に変えて以来、この3年間で１度しか使っていないこと。隅っこの練習打席で9番アイアンを握り、誰も見ていないのを確かめながら、コツーン、コツーンと30発ほど打ったきりである。

ぶつくさ言う私を、友人は「大丈夫、教えてあげるから」で押し切り、今夜車で迎えに来てくれることになった。さあ困った、準備をせねば・・。物置からゴルフバッグを引っ張り出して中身をチェック。さっそく与六も点検作業に加わってくる。

そして案の定、ゴロンゴロン、カリカリという音。目を離した隙にポーチを引っ張りだして、ボールを転がし、ティーをかじっている。えーい、いっそのことゴルフクラブもかじって欲しいぞ。悪戯っ子の与六が今日ほど協力的だと思ったことはない。

9月中旬には友人たちのコンペに強制参加させれらる私。ひとまず今夜の練習からやる気を出さないと、スコア170の予想は的中しそうだ。