心のスペースにできた雑貨屋

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心にぽっかり穴が開くという表現は一般的に失恋や別離による喪失感を指す。しかしその逆で、好きな人が出来たときにも心に穴が空くことを最近知った。

緑と海が近くにあって、食べ物が美味しくて、そこそこに健康で、足元には可愛い猫がいて、時々は馴染みの店に飲みに出かけて、友人とお喋りを楽しんで・・と満たされた毎日。独りでクリスマスやお正月を過ごしても淋しいと思うことはなかったのに、特定の人と付き合い始めてから変化が訪れた。心の拡張と言おうか、誰かを心に住まわせる占有スペースが新たに生まれたことに気付いたのである。ただし空洞の「ぽっかり」とは違い、その穴には前回会ったときの空の色、何気ない会話や手のぬくもり、一緒に食べた献立、流れていた音楽などがまるで雑貨のように散らばっているのだ。

瀬戸内寂聴の著書『生きることば あなたへ』(光文社)から見つけた短文。
「やっぱり生きているということは、ああ、いい天気だとか、今夜は風が出そうだとか、今年のさんまはおいしいとか、そんなつまらないことを何の警戒心もなくふっと口にして、それを聞いてもらえる相手がいる、ということかもしれません。」

激情をぶつけあう真夏の恋には興味もエネルギーもなくなった今、冬の日だまりみたいに穏やかな恋なら、過去の古傷が溜まった心とは別のスぺースで始められる。そこは二人しか入れない開業したての小さな雑貨屋だけど、ありふれたエピソードをコツコツと集めていく作業は楽しい。

空が曇ってきたと窓の外を見ていたら、「声を聞きたいので今夜電話してもいいですか?」のメール。たぶんそのころは降り出している雨の音も、心にコレクションされていくのだろう。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    「心の拡張」…なんかわかる気がします。
    いい恋をされている様ですね (^_^)/

  2. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    始まったばかりですが、今が一番楽しい時かもしれません。時が経ってわがままにならないよう、初心忘れるべからずですね。

  3. marie より:

    穏やかな安心できるような恋・・・。
    20代の頃は恋に恋したり、ドラマチックな恋愛をしたり、ドキドキするのが楽しかった年代・・・
    けれども歳を重ねて大人になったら「心地良い恋」が一番かもしれませんね。

  4. yuris22 より:

    marie様

    自他ともに傷だらけになる恋は卒業しました。月並みでいいから、いつもニコニコ微笑んでいられる恋がいいですね。

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