愛車とお別れした切なさに・・

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5月に台風が来たなんて何年ぶりだろう。どうせ大したことないと高をくくっていたその晩は、警報を知らせる逗子の災害無線から始まって、風雨が窓をドーンと叩く音が強まっていく。滅多に鳴かない与六がニャーニャーと足にまとい付くのは、自然の猛威に恐れを感じているのだろう。

 

でも私はそれどころじゃない。請け負っているシステムのバグが取れず、土曜日から脇目も振らずにパソコンに張り付いて悪戦苦闘しているのだ。やむを得ない用事で外には出るけれど、頭の中はプログラミングのコードが絡まり合った状態。眼を皿のようにしてエラーを探すデバッグで、期待と溜息を繰り返しているうちに、いつの間にか台風は通り過ぎてしまった。やがて白々と明けていく空に、また徹夜してしまったと教えられる。

 

文筆業とプログラマーの道を選んで、良かったのは自宅を仕事場にできることに対し、最悪なのは視力がどんどん落ちていくこと。乱視が加わり階段の上り下りが恐くなったのに加え、暗い中の運転も危なくなってきた。夜間の運転は対向車のライトに目がくらみ、トンネルに入ると前進しているのか後退しているのか分からなくなる。そこに閉所恐怖症が加わって心臓はドキドキ、気が遠くなっていくのだから、いつ事故ってもおかしくないくらいだ。

 

そしてついに決断。愛車のMINIを手放すことにした。ネットと物流が発達した今は車で買い物に出なくても、amazonならその日のうちに注文したものが届く。仕事で都内に行けば、帰りはアルコールを飲んでくるのだから車の出番がない。年に3回ほどしか乗らなくなったMINIはバッテリーが上がるし、パーツは劣化するしで、駐車場で淋しく出番を待っている姿を見るのが切なくなったのである。

 

査定に来た業者さんが工場に持って帰り、「このまま引き取っていいですか?」の連絡が来たので、あとは委任状を送るのみ。マンションの管理事務所には駐車場の解約願を提出した。こんなに早く別れの日が来ると思わずにいたので、最後にもう一度乗ってあげれば良かったなと、まるで故人を偲ぶ心境だ。パソコンのフォルダから昔の画像を探して、笑った顔みたいなフロントグリルに、駄目なオーナーでごめんねと手を合わせた。

Mini

Miniの運転席

 

ゴムタイヤの足にサヨナラしたのだから、今度は自分の足でしっかり歩かなくては。梅雨に入る前にウォーキングを再開してフットワークの軽い私になることが、きっと愛車への御恩返しになるはずだ。

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