手のひらの東京タワー

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マーケティング・ディレクターをしていたF氏が経営するバーから、昨日メールが届いた。
「明日金曜日。在庫処分セールで¥3000飲み放題です。これで本当に最後です!さようなら。。」
さ、さようならって何!!!
連日お酒の席が続いて体力的には弱っていたけれど、どうしても気になったので、目黒三田通りにあるバーのドアを開けた。

このお店のメリットは、私の住居まで這っていけそうな距離にあること。数ヶ月前に酔った勢いで飛び込んだのがきっかけに通い始め、常連客たちとも仲良くなった。
それがいきなり、ビルのオーナーからの一方的な通告で契約更新ができなくなり、クローズと相成った。

営業を終わった後でも、3月の半ばまでは猶予があるということで、時々は非公式に(?)仲間が集まる。お客たちの職種は広告代理店であったり外資系企業であったり、今をときめく業界人だ。
さびれたビルの地下にあって、お世辞にもお洒落とは言えない店に、なんでそこまでして集まるか・・。職場から自宅への導線上に位置し、しかも独りで行ける店として、見事にツボにはまってるからだ。

今夜は「さようなら」に慌てて集まったみんなと最後の(たぶん・・)お喋りを楽しみ、ちょっと早めに失礼した。
三田陸橋を渡り、恵比寿ガーデンプレイスにさしかかると、正面にオレンジの東京タワーのが見えてくる。
ウェスティンホテル東京まで差し掛かったら急に見えなくなる、微妙な位地にある東京タワー。これを見るたびにユーミンの「手のひらの東京タワー」という歌を思い出す。

彼と二人だけ、密会の部屋。窓から見える夜景の中に、小さな「鉛筆削り」みたいな東京タワーが輝いている。
実は遠い昔に、六本木でこれと同じシチュエーションを経験した。とてもとても大好きだった人が今でも懐かしい。

そして今夜、手のひらの東京タワーを携帯のカメラで撮ってみた。
思いのほか大きく見えた気がしたのに、撮れた結果は小さな小さな東京タワー。写真のどこに見えるのか、わかりますか?

tower1
tower2

帰り道にせっかく見つけた小さなバーも、手のひらの儚い思い出になっていくのかな。昔終わってしまった恋みたいにね。

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