簡単に恋をしない大人の女

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連休中のビデオ三昧で、これはブログに書かなくちゃと思った映画のワンシーンがある。あまりヒットしなかったラブ・コメディで「賢く生きる恋のレシピ」(原題 Smart People)。インテリで空気の読めない中年の大学教授(デニス・クエイド)と、かつて彼の教え子だった才色兼備な女医(サラ・ジェシカ・パーカー)とがギクシャクと恋を育てていく様子がシニカルで且つ微笑ましい。

せっかくお洒落なレストランでのデートに漕ぎ着けても、狭量な会話でムードをぶち壊してしまう彼。それでも努力の末に彼女の部屋でのベッドインに漕ぎ着けるのだが、コトが終われば彼女は「ごめんなさい、これから仕事なの」と急いで服を着始める。タクシーで帰っていく彼を見送ってそのまま病院に出勤かと思ったら、部屋に戻って「あー、せいせいした」とばかりに赤ワインを飲み始めるのである。分かるなあ、その気持ち。

付き合い始めた相手が恋人に昇格するかどうか、大人の女になるほどハードルが高いし、醒めた判断を下すものだ。1分1秒でも長く一緒にいたい気持ちより、早く1人になって家で自由にくつろぎたい気持ちが勝っているうちは、成り行きでセックスはしても本当に好きとは言えない。価値観が合致し、空気感が融け合い、それから肌が合うかどうかの優先順位。デートしている時だって無理に話題を探す必要はなく、居心地の良い「ほんわか」を近くに感じていれば満足なのである。

ガツガツしていた若い頃はすぐに意気投合して、恋にダッシュで走り出す。しかし何度も失敗を経験した歳になると、恋の動きは一進一退。相手を傷つけない上手なコントロール方法を学習し、友だち以上恋人未満の宙ぶらりんな関係を続けるズルさも持ち得ている。見方を変えればそれだけ臆病になったのかもしれないけれど。

難題を抱えつつもハッピーエンドに向かいそうな曖昧加減で映画はジ・エンド。女心に疎い中年独身男性にはぜひとも見て戴きたいお勧めの1本である。

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