2013年　秋の写真雑記

草木は寒暖の差に敏感で、ポプラはすでに秋の衣替えを始めている。澄んだ水色の空を背景に、緑から黄色へのグラデーションを見せる葉を油彩画にしたらどんなに綺麗だろうと思うけれど、絵の才能のない私は文字で描写するしかできない。

なかなか来ないバスを待つ停留所は日傘なしでいられるようになった。乗り換えの鎌倉駅も観光客の年齢層がちょっぴり高くなった。大船駅が近づいて、小高い丘の上には穏やかな表情の観音様が秋晴れに映えている。車窓から季節の変化を探していると、東京までの1時間があっという間だ。

浜松町で会議のあとは、人恋しい仲間たちで飲み会。今年も夏痩せが叶わないまま食欲の秋へと突入して、終電時刻が過ぎてもワインとお喋りで盛り上がる。品川駅前のホテルに泊まって、午前中に簡単な仕事の打ち合わせをしたら3連休のスタートだ。さあ、朝帰りっと。

スーツケースを転がす観光客が行きかう駅の構内で、ビジネスウェアの私はひとりだけ異邦人かな。それでも横須賀線の下りホームに立つと、即席で中距離電車の旅人になれる。ホリデー料金のグリーン車に乗って、アテンダントから缶コーヒーを買って、終点まで流れる景色を楽しもう。

「ただいま！」の逗子駅はのんびりとした土曜日で、潮の香りを含んだ空気に深呼吸する。ベンチに荷物を置いて、ロータリーから見上げる空にはペガサスみたいな雲。一緒に遠くへ飛んで行こうよと誘っているみたいだ。相変わらず来ないバスをあきらめて、このまま本物の旅に出てしまいたい秋の日である。