狭い歩道で、前を歩く人の速度が自分よりも遅かったらどうするか。
1.何も考えずに後に従う。
2.声をかけて追い越す。
3.イライラしながら前に出るチャンスを待つ。
東京に住んでいたころの私は2か3だった。
恵比寿ガーデンプレイスの動く歩道では、前を歩く人を追い立てるようにパンプスの踵を鳴らして歩いたし、NHKに向かう渋谷の井の頭通りなどは、歩道を諦めて車道を競歩のように急いだ。
時間に追われてもいないのに何故?
単なる癖だとしか答えは出なかった。
昨日の大雨の中、傘にしがみついて歩く私の前に、1人の老人が横道から入ってきた。後ろなど気にせずに、彼女はゆっくりと足を踏みしめながら歩く。
追い越そうか。でもその気持ちは徐々に失せた。
傘が当たるからという理由もあったが、ゆっくり歩けば無駄な汗をかかず、疲れることもない。
夏こその新発見!
さらに歩道の脇の景色が、例えば街路樹の葉から落ちる雫であったり、軒下で雨宿りしている工事人たちの暇を持て余す仕草であったり、今まで見えなかったものがスローモーションで目に入るのだ。
世界が映画のように楽しいなんて!
やがて広い道に出て、老人はまっすぐ、私は左に曲がる。
これからの人生、まだまだ曲がり角を右へ左へと歩いて行くのだろうけれど、闇雲に無駄な汗をかくことはやめよう。大切なものを見過ごさないように、無理のないペースで歩こう。
振り向くと小さくなっていく彼女の背中に、心の中で「ありがとう」を告げた。
コメント
僕もいつも早歩きです。
一つは運動不足な自分の為と考えてます。
しかしながら、おっしゃるようにゆっくり歩くことにより、
風景が変わり、都会ですら季節を感じたり、
延いては、他の人に優しい気持ちを持てたりするのですね。
σ(^ー^;) は、少し後ろについて
様子を見てから追い越します。
女性に多い、道いっぱいに広がって歩くのは
小走りしてでも抜きます。w
たまぁ~に、ぼーっと眺めてゆっくり歩くことも
ありますねぇ。なぜだろうw
それでも周囲よりは相当歩くのが速いようですがw
えっと僕はぁ・・・前の人の後ろのスリップストリームに入ってえ、一気にアクセル全開でコーナーでかぶせるように抜く・・・F-1のように楽しんでいます。もちろん実際は迷惑なのでかぶせませんけどね。すみません、yuriさんのコラムの主旨がちっともわかっていませんね。都会に住んでる限りなかなかゆっくり歩くのは無理ですよ。女性と歩いているときはそうでもないですけど。歩くこと自体を楽しんでいるからかな。昔の話です・・・(涙)
私は物理的に速く歩く事ができません
が、速く歩く事が出来なくなって、種々見えて来た気がします。
特に「真冬に準備している植物たちの姿・・・」
彼、彼女達が寒さを耐え
春を待ち
じっくりと
どっしりと
している姿
動物と時間スケールが違いますが、その生命力、忍耐力には、日々感動しています。
やーさん
運動のための早歩きは目的があっていいですよね。
ただし追い抜きが絡んでくると、戦闘態勢に突入みたいで・・(^_^;)
要はストレスなく歩けるかだと思います。
こまちゃん
私は中高生の群れが、横に広がってダラダラ歩くのだけは
耐えられません。
追い越しても追い越してもキリがない。
別の道を探します。
たけぞう様
>女性と歩いているときはそうでもないですけど。
>歩くこと自体を楽しんでいるからかな。
それは女性の速度に合わせてあげてるからでしょう。
速足の私は逆に「もっとゆっくり歩いてくれない?」と
言われてました(笑)
詩人たそがれ様
>真冬に準備している植物たちの姿
これこそじっくり見たことはありませんね。
春が近づいて膨らむ蕾たちには、いつも足を止めていましたが・・。
今年の冬はぜひとも眺めてみたいと思います。
いいお話ですね~♪
都心では、並んで歩いて、ゆっくり話しをしたい。
と思っても並べないです(笑)
そういう時は、中高生がうらやましく思ったりもします。
歩くことを楽しむかぁ・・・
なんだか、大事なことのような気がします。
ありがとう。
besnow様
昨日ものんびり歩いていたら、草むらからトカゲが出てきて
飛び上がりました(落ち着いて見れば可愛かったけど)。
これが東京だったら脇目もふらずに歩いていて、気付かな
かったろうと思います。
急げば「喜怒」
ゆっくり歩けば「哀楽」が生まれます。