秋の岩手旅行その2(癒しの花巻)

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秋の岩手旅行2日目。今日は花巻市で「癒し」をテーマにしたスポットを周った。

物書きだからと言うわけではないが、やはり最初は「宮沢賢治記念館」。
彼の自筆の原稿を見て驚いたのは、中学生のような文字を書いていること。しかしそれは下手なのでなく、思考速度に文字を書くスピードが追いつかない「もどかしさ」のせいだろう。
文学のみでなく農業化学、地質学、天文学、数学、音楽・・・、何のジャンルにおいても非凡な才能を発揮した人物なのだ。
病床で手帳にメモ書きした「雨ニモ負ケズ」の詩や、両親に向けて書いた「今生で何万分の一の恩も返せません」の遺書を見ると、わずか37歳での急逝に胸が切なくなる。

宮沢賢治記念館1
宮沢賢治記念館2

そしてヒーリングのランチは、ぶどう園が点在する大迫町へ。
といってもワイナリーではなく、早池峰山麓にある「星耕茶寮」という家庭料理の店だ。
築100年ほどの南部曲り家を改造したお宅では、オーナーの佐藤幸吉さん夫妻がガラス工房と共に、オーガニックレストランを経営している。
今日頂いたのは「リセットランチ」。採れたての野菜や山菜、きのこ等の料理が少しずつ小皿に盛られ、食べていくうちに身体が浄化されていくのがわかる。砂糖も水も一切使っていないという葡萄ジュースは、市販品では味わえない優しい喉ごしだ。

星耕茶寮玄関
星耕茶寮居間
リセットランチ

「どうぞご自由にご覧ください」とのお許しを得て、広い家を探検。
珍品コレクションの展示をしている部屋、ガラスのライトを展示している囲炉裏の部屋、アンティーク家具や雑貨を並べた土間を見て歩いているうちに、時代が逆戻りしていく錯覚にとらわれる。

囲炉裏
珍品コレクション
ガラス工房

さらに悠久の時に触れるべく、次に向かったのは「巨木の里」。
推定樹齢900年以上の「白山杉(はくさんすぎ)」は、幹周り11m50cm以上、樹高50mというマンモス級の杉で、周りにはこんこんと清水が湧き出している。
他にも株周り約20メートルのご神木である「山祇桂(やまずみかつら)」や「オノ神のサワラ」といった巨木が、観光客など滅多に来ない山村に生きているのだ。

白山杉の木肌に触って目を閉じると、意外にもしっとりした感触。
ぐいぐいと引き込まれた瞬間に、意識は空にワープして宇宙が広がっていく。こんな小さな私にも、惜しみなく精気を分け与えてくれる。

白山杉1
白山杉2
白山杉3
湧き水
山祇桂
サワラの木

さらに山道を進んで今日最後の癒しの場は、修験者たちのパワースポット「早池峰(はやちね)神社」。
西暦800年代に創建され、遠野三山の神霊が祀られている古社だ。
ここでも杉木立や湧き水の清涼感がみなぎって、強い結界が張られていることがわかる。

早池峰神社1
早池峰神社2
早池峰神社3

見上げれば、水彩画のような空が教えてくれた。
君の心身に染み付いていた汚れは、昨日の集中豪雨と今日の山歩きで洗い流されたよと。
明日からの人生予報は晴れに向かうに違いない。

早池峰山麓から

コメント

  1. Grayman2006 より:

    新花巻駅から在来線に乗り換えて、花巻駅へ…。
    現代のイーハトーブは、どことなくノスタルジック…。

    「下ノ畑ニ居マス」
    と、黒板に白チョークで書かれた文字は、
    野良着姿の賢治が、今にも下の畑から上ってきそうな錯覚を与えます。

    賢治の云う「イギリス海岸」。
    増水期で水が溢れ、河床の地形を見ることが出来なかったのが残念です。
    本日も、懐かしい土地、懐かしい場所でのブログ紀行に思いを巡らせました。
    I express my gratitude through my click.

  2. 髪結いの亭主 より:

    宮沢賢治が「寒い夏におろおろ」した気持ちは、凡才ながら共感します。

    「彼の才能が如何に世界的にすばらしいのか」
    なぜ、今の国、教育者が教えないのか、大変疑問を感じます。

    個人的には「雨ニモマケズ」の詩が、心に響きます。
    生き方を示している様で・・・。

  3. yuris22 より:

    Grayman2006様

    賢治は裕福な環境に生まれたにも関わらず、わざわざ茨の道を選んだよ
    うに見えます。

    「下ノ畑ニ居マス」の頃、過酷な環境に体調を崩してしまったわけです
    が、何が彼をそこまで揺り動かしたか・・。
    死ぬまで慈愛の心を失わなかった人だと思います。

  4. yuris22 より:

    髪結いの亭主様

    賢治が生き抜いた時代は、日本だけでなく世界的にも戦争や天災に見舞わ
    れた大変動の年代でした。 

    彼が夢見た世界は全世界の平安かもしれない・・。
    エスペラント語の才能を絶賛した世界の国々での記事を目にして、あまり
    に早く生まれすぎたのだろうと思わずにいられません。

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