もっと北へ、深い山の気を吸いに行こう。
雨上がりの青空に誘われて、朝から八幡平に向かった。
東北道を走ると右側には頂上が尖がった姫神山、左側には猛々しい岩手山がそびえている。
八幡平市松川温泉の標識を辿っていけば、突然右側に現れる染織工房「夢蒸染」。
火山活動によって蓄えられた豊富な地熱蒸気を利用して、手絞り・手染織の織物を作っている工房で、2つとない偶然のグラデーションが特徴だ。
敷地内には直営ショップ兼ペンションの「アルペンローゼ」が隣接し、カフェでは鮮やかなランチョンマットの上に入れたてのコーヒーを出してくれる。
今回訪ねた目的は、今月末まで開かれている「八幡平・岩手山と青海チベットの花写真展」。
ここでは去年・今年とチベット・フラワーウォッチングツアーを行っていて、標高三千~四千メートルの高原で撮ってきたという、珍しい花たちの写真が展示されている。
秋の八幡平と同様、チベットの空は抜けるようなブルー。
その下に咲く花の中でも特に目立つのは「幻の青いケシ」といわれるメコノプシス・ホリドゥラで、見た目はまるで造花?
工事現場のブルーテントがちぎれて散らばっているのかと思ったそうだ。
なぜチベット高原にこれほど花が咲いているかと言えば、ヒントは「遊牧」にある。
ヤクや羊たちが牧草を食べつくしたあとに残るのは、赤、白、黄色、ピンク、青・・色とりどりの花だけ。
遊牧民たちにとっては、むしろ花の方が雑草という意識があるらしく、平気で手折って観光客にプレゼントしてくれるとか。
写真パネルを飾ったギャラリーを見ているうちに、ふと気付いたのは部屋の壁にある暖房。
地熱蒸気が中を通る銀色のパイプが這わしてあり、これを取り付ける前は冬になれば、部屋の中でも気温が零下だったという。
やがて数ヶ月後には窓の高さまで雪が積もり、閉ざされた冬篭りの季節が続く。
白い壁に囲まれて、チベットの花たちの思い出に癒される生活はどんなだろう。
温かい家族のもてなしにお礼を言い、山道を下っていくと再び岩手山が現れた。
強い風にあおられて、木の葉が雪のように飛んでいく。
「今年の紅葉は黄色が強そうですね。でも黄色い葉ほど、早く散ってしまうんですよ」。
色をいとおしむ心。帰りがけにアルペンローゼで聞いた季節便りが耳に蘇った。
コメント
はじめまして(^-^)
私は生まれが福島なので、こういった山の風景には、
癒されます(^-^)
この空気の中での入れたてのコーヒー、たまらないですね♪ポチッ
lisho様
いらっしゃいませ(^_^)
今回の岩手旅行では、花巻市の山奥にある「星耕茶寮」というガラス工房
に行ったのですが、ここで出してくれたコーヒーも絶品でした。
水と空気とハートの相乗作用なのでしょう。
東京で飲む味とは別物でしたよ。
こちらでも、楓がだんだんに赤くなってきました。
どんぐりも、まるく、茶色になってるよ。
髪結いの亭主様
栗もいっぱい落ちてますか?
林道や山道を走ると、転がっている栗だらけ。
都内なら嬉しくなって拾いそうなものですが、東北では誰も見向きもしませんね。
喜ぶのはリスだけなのかな。