オフィスワーカーが家路を想う時刻、ちょっと早めに小田急新宿駅に急ぐ。
思いつきのメインイベントは、ロマンスカー「はこね41号」の先頭車両に乗ること。
シルキーホワイトのボディ、50000形VSEの特急がホームに入ってくると、鉄道マニアの少年みたいに心が弾みだす。
17時10分発・箱根湯本行。
梯子で2階席に上っていった運転士のアナウンスが終われば、ピンポンンパンポーンとおなじみの警笛(ミュージックホーン)を鳴らして出発だ。
最初の停車駅・町田で通勤客はほとんど降りていき、ビールやワインで上機嫌な観光客たちは前方の席に移動を始める。
正面の窓には2本の線路。右側の窓には丹沢の山々と富士山のシルエット。そして左側を見れば台風一過、龍の形をした雲が悠々と併走していく。
勾配がきつくなる小田原からはスピードを落として、18時38分箱根湯本に到着。
同じホームで待っている箱根登山電車に乗り換えれば、今日の目的地の塔ノ沢まで一駅だ。旅行気分がますます盛り上がる。
最終受付に間に合った日帰り温泉「ひめしゃらの湯」は午後8時までの営業。貸しきり状態の露天風呂でのんびりする時間は充分だ。
ハイヒールにアルマーニのスーツ姿から、夜間割引の入湯料600円とタオル代300円で地元の湯治客に変身する。
岩風呂にチャポーンと浸かり、森林の香りを胸いっぱいに吸い込むと「あー、日本人で良かった!」。投げ出した足から疲れが引き、火照った頬にひんやりとした夜の風が心地良い。
帰りは小田原から東海道線に乗って、缶ビールと蒲鉾かな。
日常を抜け出した5時間の小さな旅は、心の荷物を降ろす大きな贅沢である。
コメント
なか拙者も、たのしくてすっきりした気分 うほ!
素浪人様
次回はぜひとも寝台車に乗りたいと思ってます。
日帰りは無理であっても、ガタンゴトンの旅は楽しい!
お酒が飲めるからもっと楽しいぞ!!
奇遇です。
17:17新宿発の快速急行で帰宅しましたよ。
ベアちゃん
ホントに奇遇ですね。
町田で停車したとき、ここに住んでるんだなあとベアちゃんの影を探しましたよ。
なんだか山崎まさよしの『One more time, One more chance』みたい(笑)