修理に出していた真空管アンプを、午後から引き取りに行ってきた。
明日はニューヨークからのお客様、ジャズピアニストをお迎えするに当たって、リビングに少しでも良いBGMを流すためだ。
トライオードのVP-MINI88。
頂き物の宿命か、オーディオ音痴の私には接続の仕方すらあやふやな機器である。
しかし素人耳(?)にも聴こえてくる音は最高で、ジャズのライブ録音などは目の前で演奏しているような迫力がある。
ところが困ったことに、片方のスピーカーからバッチンバッチンとノイズが聞こえ始めた。
出力管を取り替えれば直るのかなと、真空管が入っていた箱を調べたら、まだ保障期間内である。早速事情を書いた手紙を添えて、製造元のトライオードに交換を願い出た。
感激したのはその翌日。
サービスセンターのNさんから何度も電話を頂き、真空管がいかに繊細な機器であるかの説明と共に、交換の際にバイアス調整が必要だと教わった。
が、悲しいかなチンプンカンプン(;_;)
「わかりました、最良の方法を考えましょう」と、メールでセッティングマニュアルを送付して頂いたものの、やっぱりチンプンカンプン(。_゜) ?
それでもNさんはお客を見捨てない。真空管のノウハウを持っているオーディオ工房に連絡を取り、私が訪ねて行った場合はよろしくとまでお願いして下さったのだ。
車にアンプを乗せ、工房に持ち込んだのが今週の月曜日。
職人気質の店主から、またもや真空管アンプの取り扱いの難しさについて説明を受けた。組み立てキットの場合、中の配線がグチャグチャだと手に負えず、修理代が数十万円にまで嵩むこともあるという。
「で、どれぐらいで直ります?」と恐る恐る聞いたところ、「全国から修理を受け付けてるから、2~3ヶ月はかかりますよ。」って、それじゃ困る。
土曜日に大切なお客様をお迎えすることを話すと、「よっしゃ!Nさんから依頼もあったことだし、優先的に修理しましょう!」と、快く引き受けてくれたのだ。
かくして今日、家に帰ってきたVP-MINI88。
バイアス調整だけでなく悪いところは全部直して、前より格段に素晴らしい音になった。
自社製品に自信と誇りを持つカスタマーサービスと、こよなくヴィンテージのオーディオを愛する修理工房の連携プレイ。
明日お客様に聴いていただくのは、彼らのハートが裏方で支えているサウンドである。
コメント
偉い!これぞプロの仕事です。
でも、ひょっとして脅かしたの・・・?
イャーいい話です!ハイ!
ほんとぉーに困ったときの対応でその会社、その人の本質が見えますね!
亀吉様
脅かしたの?とは人聞きの悪い!
泣き落としです(うそ)。
BT様
ちょうどこの日の晩、タクシーのトラブルがあったんですよ。
5分で来ると言ったのに、遅れること20分。
バンパーが落っこちたと、運転手が針金で修繕していました。
しかも後部座席のシートベルトも壊れてる。
明らかな整備不良です。
タクシー会社から事情説明を貰うべく電話番号を渡したら、あくる日の電話は
「電話するように言われたんですが、何ですか?」でした。
この会社の車には二度と乗りたくありません。