男2人のピアノデュオ

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石釜
小春日和の土曜日は午前中で終わって、空は今にも泣き出しそうなミルク色。
今のうちに散歩しようとバス通りを歩いていたら携帯が鳴った。近所の石窯焼ピザ屋さん「自遊人処」のオーナー聡ちゃんからだ。友人の電話番号を教えてという用件だったけれど、目と鼻の先にいたので回り右。散歩取りやめ、ランチはいつものチョリソ・手羽先・唐辛子のピザと決めた。

スプマンテの発泡ワインを飲みながらお喋りしているうちに、お客さんは私たちだけ。今私は石窯の前でこのブログを書きながら、パートナーは聡ちゃんにピアノを教えている。2人で鍵盤に向かって奏でるは、映画「ビッグ」に出てきたハッピーソング。

気付けば小川を隔てた遊歩道からお爺さんが手を後ろに組んで、男2人のピアノデュオを珍しげに聴いている。自転車で通りかかった少年は片足を地面につけて、しばしオーデイアンス。後ろから漕いできたお母さんも加わった。

番人をピアノに奪われた石窯は、ゆったりとまどろみの暖かさ。「寒くはないですか?」と私に小さな火をくれながら、ディナーまでの休憩時間を過ごしている。

予想より早めの雨が降り出した。洗濯物を取り込まなくちゃ、お婆さんに頼まれた買い物を済ませなくちゃ。ミニコンサートの観客たちは慌てて散っていく。

きっとここはイタリアの海に近い田舎町。まるで叙情詩のような風景だ。テーブルに飾られたペーパークラフトの白いクリスマスツリー。前より上達した2人が奏でる曲は「サイレント・ナイト」に変わった。

コメント

  1. 風小僧 より:

    映像が浮かんできました。
    ただし、これまでに私が見た物の記憶からですので、日本の風景ばかりですが・・・。

    でも、時間がゆっくり流れていくような、窓越しにいつも見る田畑の景色が何故か違う景色に見えました。

  2. yuris22 より:

    風小僧様

    大人になった今でも空想を巡らすのは大好きです。
    目の前の風景を切り取って、心の中でストーリーを付けます。
    風小僧さんの窓から見える景色はきっとフランスの田園。主人公はジョルジュ・サンドでしょうか?

  3. 風小僧 より:

    私の身近には?
    サンドはyuris22さんですね。
    ショパンでしたか?…が名曲を世に残せたのは彼女のおかげではなかったでしょうか。

    逗子のサンドさんも、ショパンの為に文筆に励んで下さい。

  4. yuris22 より:

    風小僧様

    まあ、ありがとうございます(^_^)
    感性豊かな文章を書けるよう、日々精進いたします。

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