ヒーローはイランの筋肉マン

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12日に渋谷区神宮前で起きた火薬の爆発事故。私がお世話になっている美容室は現場と同じブロックにある。事故の翌々日に髪をカットしてもらいながら、興奮冷めやらぬスタッフにこぼれ話を聞いた。

火元の住宅から男性を救出したイラン人タレントのランディ・マッスル氏はこの美容院のお客さん。彼が所属する事務所は現場のすぐ近くにある。
ドカーンという爆発音を聞いて駆けつけると、家の壁に穴が開いていた。何だろうと穴から中を覗いたら、男性が必死に火を消そうとしている。すると二度目の爆発が起こり、爆風と共にもっと大きな穴が開いた。

普通の民間人だったらここで逃げ出すはずが、マッスル氏にはイラン・イラク戦争の経験がある。「助けなくては!」と出口を確保して、もうもうと煙が立ちこめ視界がきかない屋内に飛び込んだ。
火の回りは激しく火柱が立っている。血だらけになった男性は「中に妻がいる!」と火の中に戻ろうとしたが、マッスル氏は無理やりつかんで外に引っ張り出したという。その後にまた大きな爆発。

・・とここまでは報道された通りだ。
救助された男性を取り巻く消防員たちは、中には誰か取り残されているのかと聞くばかり。屋内に入ろうとしないという。
これが9.11で活躍したアメリカの消防士だったら、市民を守る使命感に燃えて我先に飛び込んで行っただろうと、国民性の違いを実感したそうだ。

集まった緊急車両の数は何十台に及ぼうと、道が細すぎて消防車の到着は遅く、縦列に並ぶのみ。二次被害が起きなくて良かったと思うものの、結局は2人の命が奪われてしまった。合掌。

マッスル氏の活躍を知った事務所の社長は、電話でこう告げたらしい。
「お前みたいな馬鹿は絶対に死なないよ」。
無我夢中。ダイハードを地で行くヒーローへの苦笑いだろう。

コメント

  1. T・O より:

    咄嗟の判断で火の中に飛び込むことができるのか、 やっぱり日本人は計算をしてしまう自分の 身の安全と危険。 一般の人の行動で助かる命もありますよね。

  2. yuris22 より:

    T・O様

    困ったことには野次馬の数が多すぎて、救助活動を妨げてしまうこともあります。記憶に新しい秋葉原の殺傷事件みたいに。

    とはいえ緊急事態に直面してみなければ、自分の行動はわからないのかもしれません。

  3. ともりん より:

    お久しぶりです。
    庇うわけではありませんが、
    消防士も組織に属している以上、勝手な行動は許されていないのではないでしょうか。

    個人が自分の思うように行動していれば
    現場は益々混乱するでしょうし。
    上からの指示がないとできないことというのもあると思います。

    端から見ている第三者は好きなことを言えますが
    実際の所はその立場になってみないとわからないのではないかと思います。

  4. ともりん より:

    (続き)
    火の怖さを一番わかっているからこそ
    慎重にならざるを得ない部分もあるのかもしれませんね。

  5. yuris22 より:

    ともりん様

    そうですね、こういう場合に備えての訓練も充分に行っているでしょうし、ましてや彼らにも一生をかけて守るべき家族がいます。

    空気が乾燥するこれからの季節は、火災が多くなります。哀しみが増さないよう、各自火の元には充分気をつけないといけませんね。

  6. ともりん より:

    本当にそうですね。
    物騒なこのご時世、結局自分の身は自分で守るしかないのかもしれませんね・・・。

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