2月に入ってからテレビの電源を入れていないのに気がついた。みんなが話題にしている冬季オリンピックも、開会式すら見ていない。寝食以外は常に、パソコンの前にいるか、資料を漁っているか、打ち合わせの席にいるか、仲間と飲んで議論しているかのどれかである。時代の波に遅れそうで少々不安。
ところが私よりもっと浦島太郎な人物がいた。国会という竜宮城に巣食う政治家たちだ。ネットニュースを見たところ、昨日行われた党首討論は「政治とカネ問題」に終始している。確か1ヵ月前も同じような答弁をしていたはずと、エッシャーのだまし絵にある「らせん階段」を思った。永遠にぐるぐると回って、出口が見当たらないのだ。政局争いの末に彼らが竜宮城から戻った頃には、国民たちは全く新しい政権を応援しているかもしれない。
その点で比較すれば宇宙の竜宮城は、日本の国会とは天と地の差がある。先日、JAXA宇宙飛行士・若田光一さんの講演を聞く機会があったのだが、どのエピソードにも彼の真髄である「夢・探究心・思いやり」の精神が溢れていた。
国際宇宙ステーションで4カ月半にも及ぶ宇宙長期滞在。フライトエンジニアたちは自国のシステムだけでなく、加盟する各国の実験棟に入ってシステムを操縦する必要がある。前もってその国々に出向き最先端の訓練を積んで、世界人(地球人)となって宇宙に飛び立つのである。
若田さんらを国際宇宙ステーションまで運んだスペースシャトルが帰って行ったあくる日、ロシアの宇宙船ソユーズがドッキング。降りてきたのはMicrosoft社のExcelを開発した米国のプログラマー、チャールズ・シモニーだったという。仲間と分かち合う夢の実現には国境などないのだ。
宇宙船の窓から見た地球は青く美しい。しかしその地球のどこかでは、蟻のサイズにも満たない人間たちが「ママの出してくれたお小遣い」疑惑で延々と争っている。そのうち国民たちは全員が宇宙船に乗って、煤けた国会議事堂に手を振る時がくるだろう。
コメント
まさに「井の中の蛙」ですね。
的は逗子の素浪人様
みんなまとめて国外退去させたいほどです。攻防戦を一生やってろ!って感じかな。