恋とマイケルがいた時代

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昨日からどこへ行っても、マイケル・ジャクソン逝去の話題で溢れている。世界各国のメディアから各家庭に向けて開かれたテレビやラジオ、WEBサイトといった窓。それはまるで大きな掃除機を抱えたマイケルが、人々の記憶からスキャンダルを一気に吸い取り、代わりに美しい神話を巻き散らそうとしているかのようだ。

私が初めて行ったマイケルのコンサートは、”Dangerous Tour 1992″、12月の東京ドームだった。この当時はプロのアスリートと恋をしていて、見栄をはった私は、前から4~5列目の席を手に入れて誘った。体力が落ちて現役からの引退を決めていた彼は、風邪をひいて38度の熱。隣は空席になるかもと諦めていたのに、日に焼けた背高のっぽが、人波の中で待ち合わせの場所に立っている。

このコンサートで”Thriller”よりも”BAD”よりも聴いて欲しかったのは、”Heal The World”というバラード。特に下記のコーラスの部分が彼の現状にオーバーラップしているようで、クリスマスプレゼントになりますようにと、この曲の間じゅうチラチラと横顔を伺っていた。

Heal the world
Make it a better place
For you and for me
And the entire human race
There are people dying
If you care enough
For the living
Make a better place
For you and for me

「面白い奴!」。彼がいちばんうけたのは、衣装替えのためにマイケルがステージから下がった時だった。観客を退屈させないようにと舞台裏から”Wow”、”Yeah”、”Hey”とささやく声が聴こえてくる。「ボクはここにいるよ~」のアピールにみんながクスクス笑い、再登場したときにはお返しの”Hey!”が会場じゅうに響いた。

アンコールが終わり、外に出てからどこに食事に行ったのか、それとも行かなかったのか、道のりは思い出せない。必死に伺っていた横顔も輪郭程度しか覚えていない。今に思えば別れて涙するほどの恋じゃなかったけれど、それでもステージで輝いていたマイケルのオーラだけは記憶の中で鮮やかだ。

昨日も今日も幾度となく流れる映像。12年ぶりのコンサートツアーを発表したマイケルが、痛々しいほど真っ白な顔にサングラスをして語っている。
「ファンが聴きたい歌を歌うよ。これが最後のカーテンコールだ。7月に会おう」。

You and I make a pact
We must bring salvation back
Where there is love,I’ll be there

I’ll reach out my hand to you
I’ll have faith in all you do
Just call my name and I’ll be there

昨日ひとつの時代が終わり、King of Popはネバーランドから私たちの心の中へと棲家を変えた。

コメント

  1. 703 より:

    同じ世代を生きてきた人たちが皆言う。
    【ひとつの時代が終わった】と。。。。

    マイケル・ジャクソン。。。。

    ジャクソン5から見てきて、一緒に大人になってきたのに。。。先に逝っちゃって。。。
    まだまだ、この先も見ていたかったのに。。

    何とも言えず、切なくて寂しいね。

  2. yuris22 より:

    703様

    奇しくも同じにファラ・フォーセットが亡くなったのも、一つの時代の終焉でしたね。『チャーリーズ・エンジェル』の時のヘアスタイルは、女の子たちの憧れでした。
    ライアン・オニールの愛に支えられながら、ガンと戦い抜いて旅立っていった姿は、りりしくも美しい存在だったと思います。

  3. 渡辺孝子 より:

    yuriさん、今、Heal The Worldを聴きながらコメントしています。大好きなマイケルが本当の星になってしまいました。この曲はUSA For Africa以来、彼のチャリティー活動の中で最も印象に残っている曲です。
    I’ll reach out my hand to you
    I’ll have faith in all you do
    Just call my name and I’ll be there
    遠い夜空の星になった彼は、ホントに
    「僕の名前を呼んでください。僕はそこにいますよ」と
    言ってくれているように思う時、たった一人で突然旅立った彼が一瞬でも自分の人生が心から幸せだったと思うことができていればと祈っています。

  4. yuris22 より:

    渡辺孝子様

    マイケルの画像を並べた読売新聞のサイトを見つけて眺めています。
    http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/photogallery/Michael/glist.htm?ge=555&gr=1559&from=yolsp

    改めて思うに、どうしてここまで整形したり美白したり、不自然なことを重ねたんでしょう。彼が抱えていたコンプレックスや人間不信を思うと涙が出てきます。たぶん老いて老人になることも耐えられなかったのではないでしょうか。
    子供の頃からスーパースターであった人生の波乱万丈は想像を絶します。もう何も心配せず、ゆっくり休んでねと声をかけるしか出来ません。

  5. marie より:

    マイケルジャクソンの「スリラー」だったかな?その歌が流行ってた頃の私は中学生でした。
    その他には石井明美の「CHA CHA CHA」
    あの頃は「ベストテン」とか歌番組が全盛期でしたよね(^-^)
    歌には色々な思い出がありますよね。今は亡きZARDの坂井泉さんの「負けないで」「揺れる思い」とかは私が初めて付き合った彼との思い出があります(^-^)何をやっても一番楽しかった時期だったかもしれません(笑)

  6. yuris22 より:

    marie様

    そうそう、自分の輝いていた年代とオーバーラップするのですよね(^_^)
    しかも当時付き合っていた男性の顔がさらに思い出されちゃう。
    だからマイケルにはありがとう。そして大好き。そして涙。
    いつか私も空の上に旅立ったときには、ムーンウォークを教えて貰おうと思っています。

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