お盆参りの不思議な出来事

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今日は早起きして祖父母のお墓参りに行った。朝比奈峠の渋滞を予測して、鎌倉霊園の開門10分後に行くと、既に駐車場は7割方埋まっている。ワンボックスカーに大勢乗り込んできた家族、若いお母さんと幼児の二人連れ、バスに揺られてきた老夫婦・・、管理事務所に張られたテントの下で仏花とお線香を求めては、それぞれの墓所に向う。

お盆の期間は、関東では7月13~16日、地方では8月13~16日だという。うちのお墓は関東にあるのだからと自分なりに理由をつけて、今年は7月にお盆参りを済ませた。ところが昨夜、不思議な出来事が起こったのだ。

土曜日だから飲みに出ようと決めていた夕方。ベッドの上で飛び跳ねる与六と遊んでいるうちに、うっかり眠ってしまった。頬に風が当たって目を覚ますと夜8時すぎ。どこからかお線香の匂いが漂ってくる。窓は閉めてあるし、エアコンは隣の部屋のを入れているのに、風が吹いてお線香が匂うなんて有り得ない。横にいたはずの与六はベッドの下で、尻尾を丸めている。

祖父母が来ているのだなと直感した。骨を埋めた地は神奈川県でも、愛媛県訛りが死ぬまで抜けなかった2人は、田舎の風習を愛しているのだろう。空に帰る前に、「明日は送り火なんじゃ」とお別れに来てくれたのだと思った。私の住まいは祖父母が亡くなってから購入したというのに、しかも独り暮らしの孫の家だというのに、逢いに来てくれたのが嬉しい。キッチンに立ち酒の肴を作り、3人分の杯を並べて、今は無い七里ガ浜の家に想いを馳せた。

秋のような風が吹く鎌倉霊園。墓石を磨き、仏花をたむけ、お線香を供える。東京に住んでいる叔父叔母たちは、自分を生んでくれた親の墓だというのに7月にも8月にも来なかった。でもそのことは隠して、老人ホームにいる父にお墓参りの報告に行くつもりだ。「おじいちゃんとおばあちゃんが私を守ってくれてるよ」と告げたら、どんなに喜んでくれることだろう。

鎌倉霊園から見た空

追記:
鎌倉霊園の帰りにガーデニングショップに寄った。枯れかけたプランターの花を植え替えるためだ。しかしまだ開店の10分前。次の機会にしようと思ったが、草花が大好きだった祖母を想い、今日のうちに植え替えなきゃと開店を待ち、ピンクのペチュニアの鉢を買った。

車に乗って家のそばに近づくと、交差点に人だかり。パトカーが数台、救急車が一台、赤いランプを転倒させている。出合い頭の事故だったのか、ハザードを点けて停まっている乗用車の反対側には、電柱に激突して前半分が大破した原付バイク。救急隊員たちが蘇生しようとしていたが、あの様子では亡くなったと見て取れた。少し離れて壁際に、ハンカチを口に当ててしゃがみ込んだ女性。被害者の家族も加害者も、これから辛い人生が始まると思うと胸が痛い。

あと10分早く通りかかっていたら、私が加害者になっていたかもしれない。人は歩く先々に運命の分かれ道がある。正しい道しるべを示してくれるのは誰だろう。今日もこうして平穏にいられることに感謝したい。

コメント

  1. T・O より:

    自分も一人お墓参りに行って来ました。 祖父母との思い出や、会ったことのない先祖のことを想い手を合わせるのは気持ちが落ち着きますね。

  2. yuris22 より:

    T・O様

    空を背景にお墓に手を合わせていると、大きな屋根の下に集ったご先祖様たちを感じます。間口が広い、田舎の大きな一軒屋。みんなこちらを向いていて、とても穏やかな表情です。

  3. marie より:

    後戻りしてコメントをさせて頂きます。
    本当、不思議な出来事ですね。
    線香の香とか、霊を見るとか言った経験は私はありませんが、似たような経験はあります。(以前にお話したかと思います)
    本当、人生って不思議と言うか何があるかわかりませんね。
    自分が思いもしないようなうれしい事が起きたかと思えば、信じられないような病に苦労したり・・・。
    「もし、あの時こうしていたら・・・」「あの時違う人生を選んでいたら」あげたらキリがないほどたくさんありますね。
    いいことは神様からのプレゼント、悪いことや病気は「ちゃんとしなさい」「気をつけなさい」というメッセージですよね。
    けれども、人生はそんなにいい事って実は少ないのかもしれません。嫌な事がないと人間は努力や反省はしない生き物だと思いますから。
    世の中、悪い誘惑って沢山あって、その誘惑に負けてしまった為に人生を台無しにする人もたくさん居ると思います。
    人はどうしても刺激を求めがちですが、平凡で決まった日常が実は一番幸せだと感じます。

  4. yuris22 より:

    marie様

    登山するとき、上りよりも下りのほうが苦手と言う人がいます。転んだら一気に滑り落ちそうで恐いのだそうです。
    罪を犯してでも他人より高い場所にいたい人って、転落への恐怖心理が人一倍なのかもしれませんね。はたしてそれが幸せであったかどうか、答えが出るのは死ぬ直前に人生の走馬灯を見るときかなあと思います。

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