天の銀行に貯金するもの

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夏から秋にかけて「転落」という言葉が盛んに使われた。転落したアイドル、転落した政党。酒井法子や自民党の行く末を、マスコミは底意地悪く追いかける。まさか自分がこんなことになろうとは・・。どんな著名人にでも不遇は容赦なく訪れる。

孔子が弟子を連れて諸国遊説の旅をしていたときのこと。ある国で政争に巻き込まれ、食べ物さえないまま何日も立ち往生した。弟子の子路が「君子でもこんな惨めな目にあうのですか」と訊ねたところ、孔子は「遇と不遇とは時なり」と諭したという。
その意味は、人の運の善し悪しは時勢のいかんに依(よ)るものであるから、今が不遇であっても悲観することなく、また、仮に時を得ても得意にならない方が良いということ。
くろご式 慣用句辞典より引用)

時勢とは自然の摂理のことだろうか。『シルバー・バーチの霊訓』によれば、幸運(ツキ)と言うようなものは存在しなくて、宇宙の法則では全ての出来事が原因と結果の関係で生じているという。光と闇の一対。神様が人間につける帳簿は一銭の狂いもなく、収支が相償うようになっているらしい。

私たちはコツコツと働いたお金を銀行に蓄える。生活に困ったときには引き出して使う。スピリチュアラーや宗教家いわく、天にも銀行があるそうだが、そこで蓄えるものはお金ではなくて「運」である。不遇の時には涙や汗を流しながら運を蓄え、幸せが巡ってきたときは運を一気に消費するのだ。

孔子の「遇と不遇とは時なり」には結びがある。「身を修め行い端(ただし)くして以ってその時を俟て」。次の幸せが来るまでの準備期間として、自らの心身を鍛え行いを正しくせよと言っているのだ。

驕りの頂上に君臨していたアイドルも政党も、手持ちを使い果たしたどころか、運の借金が相当に溜まっている。しかし返済は可能だ。天の預金通帳には、蜘蛛の糸のストラップが付いている。どん底から再生に向けて這い上がる姿が誠実であるなら、差し伸べる手はきっとあるだろう。

コメント

  1. 舞衵蓑手要瑠 より:

    毎日読ませていただいております。たのしみにしています。

  2. marie より:

    確かに、物事は「原因」があって「結果」がある。
    いいことも悪い事も。
    けれども、人間は悪いことが起こると、原因を聞くよりも悪事ばかり責めますよね?
    いいことがあれば、「運がいい」だの「ご褒美」と有頂天になりますが・・・。
    酒井法子含め、過ちを犯した人々は償いと反省をしなくてはなりません。
    しかし、誰か一人でも手を差し伸べなくては更正はしにくいかと思います。
    大事なのは、「悪事」を責めるのではなく本人のこれからの人生の為に協力が必要だと感じます。
    甘やかすと言う意味ではなく、本人の更正の為に背中をそっと押してあげるのです。

  3. yuris22 より:

    舞衵蓑手要瑠様

    ありがとうございます。好き勝手なことしか綴れないブログなのに、毎日読んで下さるとは感謝以上の言葉が見つかりません。私は手先も心も不器用です。だからこそ、その不器用さが文章というツールを通して発信できることを祈っても止みません。コメントを下さる方々は私を鍛えて下さっているのですね。今日も心が穏やかな夜です。

  4. yuris22 より:

    marie様

    私は取り立てて悪事を働いていないと思うのですが、見渡せば過ごしにくい世の中になりました。男社会にぶらさがった付和雷同の女たちが、「あんたなんか要らない」と呼吸を止めにきます。負けずに生き残っていくためには、自分の価値をストレートに誇れる芯の強さが必要なのでしょう。でもねでもね・・、そんな心の宝石を、今はいったい誰が持っているんでしょうか。

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