政事は豆腐の箱の如し

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自民から民主へ。政治の歴史が塗り変わった夜が明けて、今日は寝不足の人が多いのではないだろうか。近づく台風を筆頭に、新政権のお手並み拝見となる出来事が容赦なく襲いかかると見ている。日本のリセット。良くも悪くも始まるのはこれからだ。

昨日投票に行った逗子市の小坪小学校で、何十年も昔にタイムスリップした気分になった。校門の脇に立っているのは「勤勉」のシンボル、薪を背負いながら本を読んで歩く二宮尊徳(金次郎)の像だ。

日本経済が安定成長期に入った1970年代から、校舎の改築に併せて撤去した学校が多いと聞いていたが、明治7年に創立されたこの小学校には堂々と残っている。「朝の一斉読書」「読み聞かせ活動」といった読書推進活動も行っているそうで、二宮尊徳は児童たちにとって大先輩かもしれない。

二宮金次郎

尊徳の銅像が撤去されていく大きな理由は、実際に薪を背負って読書したという記録がないことと、子供たちが真似て事故に遭わないための配慮だそうだが、なんと夢のない配慮だろう。アートのデフォルメのように、読書のススメを誇張した姿だと思ってはいけないのだろうか。正論を振りかざした歪みは、踏襲されると本質が見えなくなる。

数多い尊徳の名言のうち、ランキングNo.1は「政事は豆腐の箱の如し。箱が歪めば豆腐も歪む」。歪んだ豆腐とは、まさに崩壊した自民党の姿そのものであるが、他にも当てはまる名言が多い。
「誠実にして、はじめて禍を福に変えることができる。術策は役に立たない。」
「国家最大の損失は人心の田畠の荒れたる事也。其の次は田畠山林の荒れたる事也。」

政策、政策と口ばかり。今や反面教師。時間があれば漫画を読みふける麻生総理は、平沼赳夫氏から苦言を呈されている。「総理が秋葉原で漫画の話をしてはいけない。総理は歴史、政治、道徳、宗教学などの本を読まなければいけない。」

そうだ、豆腐の箱を作るヒントは山のように転がっているのだ。 書物を通して得る先人の知恵は優れた指南役であり、歴史の転換期ほど必要とされる。明日から9月、二宮尊徳の時代より遥かに恵まれた私たちに、読書の秋がやってくる。

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