庶民の道で出会うもの(2)

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選挙カーとリゾート客の喧騒が去って、小坪の町には秋の静けさが訪れた。今日は早めに仕事を切り上げ、デジカメを持って散歩に出る。午後4時を回ったら、小川沿いの遊歩道で撮りたいものがあるからだ。英語名で”FOUR O’CLOCK”。歳時記では秋の季語に入る「白粉花(オシロイバナ)」だ。

日本古来の花かと思っていたら、熱帯アメリカ原産。しかし元禄7年(1694)に書かれた貝原益軒の本草書には既にこの花の記述があるそうなので、少なくとも江戸時代からずっと庶民の花なのだろう。

小学生の頃、放課後に白粉花を見つけるといつも道草をした。黒い小さな種を取るのが楽しくて、一株取り尽くしては次の株へ、ポケットを膨らませて帰ったものだ。夏休みが終わって2学期。「お帰りなさい」と迎えてくれる秋の象徴のようだった。

白粉花
白粉花の種

普段の生活が戻った庶民の道では、猫もマイペースを取り戻した。台所から漂ってくる夕飯の匂いに鼻をピクつかせ、ヨイショと腰をあげる。横をバタバタと走っていく子供たちに「うるさいにゃ」と一瞥をくれて、家族の待つ家へと戻る。人も猫も帰る時間だ。

夕方の猫
何か用?

日が短くなってきて、ぬくもりが恋しくなる夕暮れ。今年は私も「ただいまー」と声を出して玄関を開ける。窓辺で見張り続けていた与六が、「もう、待ちつかれたにゃ」と大きなあくびをした。

物思う秋
大あくび

コメント

  1. marie より:

    都会の隅の住宅地でも意外と猫っていますよね(^-^)
    実は先週末、夫が私の同級生と以前同僚だった方の家(横浜)に車で遊び行って来ました。
    ETCが千円になるのを待って夜中の12時に岩手を発ち、朝6時頃に着いたそうです。
    それから、湘南、江ノ島、逗子、横浜中華街・・・と観光して来たとの事です。
    最初に行った江ノ島で猫を三匹発見し、写メを送ってくれました。
    江ノ島のチケット売り場の看板猫がとてもかわいかったです(^-^)

  2. yuris22 より:

    marie様

    10年ほど前、江ノ島の近くに住んでいました。当時は島内(特に岩屋)に、どうしてこんなに集まったの?ってほど野良猫たちでいっぱい。野生の王国のようでした。
    今は数が少なくなりましたが、捕獲されちゃったのかな。でも残っている猫たちは例外なくデブデブしているのは、食料に事欠かない恩恵に授かっているのでしょうね。

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