最近バスに乗ることが少なくなった。逗子駅までの往復を頑張ってウォーキングしているのが最大の理由だが、ふうふう歩く横をバスが追い越していくと、何だか置いてけぼりを食らった気分になる。
電車に比べてバスは緊張する乗り物だ。地域によって乗り込むドアが前だったり後ろだったり、料金も先払いと後払いがある。お釣りを貰うには何処にコインを入れるのか、モタモタしてると後ろのお客に迷惑をかけそうで、これまた緊張する。
しかも初めて乗る路線は気を抜けない。窓の外をチェックしながら、アナウンスされるバス停の名前に聞き耳を立てる。目標物を通り過ぎて「あああーっ」と、次のバス停で慌てて降りることもしばしばだ。
高齢者の多い地域では、座る席の選び方も難しい。逗子の亀ヶ岡団地循環の小型バスは、時間帯によってはお客の9割が高齢者である。だんだん混んでくると、乗ってくるお客を見るたびにドキドキ。最後部の隅っこに座っていても、ジロリと睨まれれば席を譲って通路に立たざるを得ない。
厄介で、いつまでたっても慣れない乗り物。時刻表通りに来ない気まぐれな乗り物。停留所にいるのを見ると、つい駆け寄ってしまう乗り物。でもこの愛着は何だろう。
汗だくで歩く私の前を、鎌倉駅行きのバスが走り去った。もしかして鎌倉へ行く用事はなかったか、後姿を見送りながら、意味のない後悔をさせる不思議な乗り物である。
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