文章で稼ぐ貧乏

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お酒の席でこのブログの読者という方とお会いして、タイトルに関して引っくり返りそうなお言葉を頂いた。
「いつも楽しみにして読んでますよ。『文章で稼ぐ貧乏』でしたよね」

えっ、えーっ、「違います」と言いかけて、待てよと苦笑した。ブログのトップにあるタイトルは一目瞭然で『文章で稼ぐ贅沢』なのだが、相手が言ってるほうが真っ当かもしれない。物書きが贅沢なのは雑学を詰め込んだ頭の中身(と言っても私は大したことないが)であり、懐具合は寒風に吹かれっぱなしのほうが多いだろう。

それでも何とか食べていけるのは、半永続的に歌い継がれる子どもの歌を書いたおかでげあり、毎月管理料を頂いているWEB制作の仕事であり、定期的に大口の原稿依頼をくださるクライアントのおかげである。

 

昨日は渋谷にて原稿の打ち合わせ。行きがけに手を合わせた大船の観音様から「いいことがありますよ」の声が聞こえた通り、頑張りがいのある仕事の依頼があった。雑談が1時間半、実務的な打ち合わせが5分というミーティングの最後に「いつも頼りにしてますよ」とお褒めの言葉と、立派なお土産まで戴いた。

 

コツコツと一つの職業を続けていくことへのご褒美に年齢制限はない。その模範とも言えるのは歌手の由紀さおりさんだ。63歳にして、PINK MARTINIとのコラボレーションアルバム『1969』が海外で大ブレイク。先日NHKの深夜番組『SONGS』で、12月に行われたNYコンサートの映像を見たが、『ブルー・ライト・ヨコハマ』『夜明けのスキャット』という懐かしの歌謡曲や日本語で歌う『マシュ・ケ・ナダ』などがアメリカ人の観客に大絶賛されていた。カタカナ、英語、日本語が意味不明にMIXしたニッポンの若者たちのラップと比べると、いかに言葉を大切にしているかが分かる。

 

由紀さおりさん&安田祥子さんのコンサートは何回か構成と訳詞を手掛けたことがあるが、歌や振付はもちろんMCトークに至っても最初から最後まで構成台本から外れることはなく、何度もリハを積み重ねて正確なステージを作り上げる。まるで日本の伝統芸能のような職人芸であった。

 

私の仕事は「芸」が付くほどのキャリアはないけれど、「腐っても鯛」でいたい。書く文章に手抜きはないよね、言葉のリズムは心地良く耳に響くよねと自分に問いかけながら、このブログも消しては直しで書いている。パソコンの脇の卓上カレンダーに増えていく予定は、プロとして生き残っていける幸せのステップだ。『文章で稼ぐ貧乏』は然り、一日中ボサボサ頭のパジャマ姿が物書きのステージ衣装なのかもしれないな。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    うっ 初ミルク吹いた~~~!!!

  2. marie より:

    自分の好きなこと、得意なことを職業にして食べている人って世の中に何人居るんでしょうね~

    私は高卒して某有名会社に就職が決定して19年も居ました。
    内定が来た時は「自分のやりたいことじゃない、内定取り消してもらうかな」なんてバカなことを考えました。
    しかし、自分の信頼する後輩に「でもね、自分の好きなこと、得意なことを職業にしている人って世の中そんなに居ないと思うよ」と言われて思いとどまり、実際に入社して見ると楽しくて仕方ありませんでした。

    その後輩に感謝しました。

    人生って、世の中って本当に厳しいです。
    自分の友人だったり、知り合いだったり、後輩だったりとそれを教えてくれる人が居るって素晴らしいことですよね。

  3. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    初笑い、ありがとうございます。
    ブログに書いている通り、自分の中に「真と芯」さえあれば、少々回り道しても軌道は外れないと思っております。

  4. yuris22 より:

    marie様

    何気ない一言に気づきを貰うことってありますよね。自分じゃ全く見えていなくても、周りの人には丸見えってことも・・。
    ポジティブな人間関係は宝物ですね。

  5. ICHIGEN より:

    一元ですが、
    確かに文章が素晴らしい。
    わかりやすいが熱い★

  6. yuris22 より:

    ICHIGEN様

    ありがとうございます。
    いつのまにか「癖」となっている文章の書き方ですが、読みやすいと言って戴けるのが一番嬉しいです。背伸びせず、他人と比較せず、淡々と続けていくつもりです。

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