深夜に去っていく引越しトラック

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徹夜仕事が続くと朝のゴミ出しがキツい。明朝の収集に間に合うよう、夜11時を回ったころに不燃ごみを出しに行った。するとゴミ置き場の脇に大きな引越しトラックが停まっており、息をひそめたモンスターみたいな怪しい雰囲気だ。車内には小さな灯りがついていて、誰か乗っているのが感じられる。

まさか夜逃げ!? いや、早朝の引越しに備えているんだろうと解釈して、再びパソコンと向かい合う静寂さに戻った。マウスクリックとキーボードの音しかしない環境だったのが、日付が変わった時刻からカラスがギャーギャーと騒ぎはじめ、地鳴りみたいな重低音が伝わってくる。このところネットでは3月20日に首都圏を襲う大地震が来るとか、核爆弾のテロ予告で各国大使館がクローズするという噂が飛び交っており、ついに来たのか!!と慌てて腰を浮かした。

ガオーッ!重低音は音量を増して近寄ってくる。足元で寝ていた猫が耳をピンと立てている。これは地震かテロかと急いでベランダに飛び出ると、先ほどの引越しトラックが道路を走り去って行くのが見えた。なんでこの時間、迅速に1台だけ?

腑に落ちず「深夜の引越し」でネット検索するとトップに出てきたのは、今日・明日・深夜などの急な引越しに対応するという業者のサイト。他にもいろいろ調べていくと「夜逃げ」とは明言していなくても、曖昧な表現で匂わせているグレーな業者が幾つも見つかった。こりゃー目の付け所が凄いというか、最悪の不況時だからこそ儲かるビジネスだ。

でもネガティブな想像は止めよう。きっと仕事が忙しくて夜中にしか引越しできなかったんだよね。断捨離をしてトラック1台分の荷物にまとめたんだよね。こんなに緑が豊かなマンションから出ていくのは、もっと良い環境を見つけたのだと応援したい。

春分の日が来たのに寒さは居座っている。経済危機という冬にコートを剥がされてしまった友人が、1人抜け2人抜けの脱落をしていく。”It’s my turn”(今度は私の順番)とトランプのジョーカーを引く瞬間を、ポーカーフェイスしながら誰もが恐れている。

ペーパーマネーの資本主義社会から脱しなくては、世界中が深夜の引越しトラックで逃げていくんじゃないだろうか。禅の言葉の「本来無一物」。人間はもともと何も持っていないのだと悟り、砂を集めるみたいな空しい執着を捨てる時期に直面しているのかもしれない。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    「夜逃げ屋」と言う映画でこの様な仕事の事を知りました。
    求める物が多いほど、失う事も多いのではないでしょうかね。

  2. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    中村雅俊の「夜逃げ屋本舗」でしたっけ、見た覚えがあります。時代が変わった今、続編を作ったら面白いかもしれませんね。
    でもねぇ、何をそんなに沢山持って逃げるんでしょう。生きていくにはスーツケース1つで事足りるような気がしています。

  3. より:

    ゆり子さん、こんにちは。

    「本来無一物 無一物中無尽蔵」
    本当にそうですよね。

    な~んにも無いんだけど、実は有り余るほど持っている

    「気づく」ことなんでしょうね。

    ・・・と気づきたく、あがく自分が居ります(笑)

  4. yuris22 より:

    寅様

    「本来無一物」から遠ざかるのは、財布の紐を締めることを忘れさせる便利な仕組みにあるのかもしれません。安いからとつい余計な物まで買っちゃう百均とか、マウスクリックでゲーム感覚で買えるネットショッピングとか、要らないものを増やしていきます。モノが溢れて汚部屋になる前に、ラクチンな悪習慣を身に着けないことですよね。

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