死にたい時にはヌードを観る

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人生を投げてしまいたくなる特異日があるのだろうか、昨日は首都圏で鉄道人身事故が相次いだ。

・午前10時46分頃 京浜東北線さいたま新都心駅 女性がはねられ一時運転見合わせ
・午後 5時15分頃 飯田橋駅 男性がはねられ中央快速線・総武線の上下線約6本が運休
・午後 5時55分頃 京成押上線 四ツ木駅で人身事故
・午後 7時25分頃 東急田園都市線つきみ野駅 男性がはねられ上下線計34本が運休
・午後 6時10分頃 武蔵野線 東浦和~東川口間で人身事故
・午後20時15分頃 内房線 君津駅でホームから人が転落
・午後10時45分頃 西武池袋線 東長崎-江古田間 男性がはねられ約45分間運転見合わせ

年末が近づくと電車に飛び込む人が増えるというが、昨日はまるで絶望の連鎖反応だ。かくいう私も朝からブルーな気分にとらわれて、ホロスコープの助言通りに外出を控え、丸1日家篭りしていた。

食事を終えて光TVで観た映画が『ヘンダーソン夫人の贈り物』。第二次世界大戦勃発時に、ロンドンのソーホーにある劇場「ウィンドミル」を買い取り、女性ヌードを見せるミュージカルを連日上演した未亡人オーナーと支配人の実話である。

ヌードはご法度の時代に、ダンサーが動かずに「静止画」として裸を見せることで検閲をクリア。どの劇場もクローズしていく中で、ウィンドミルは大盛況。前線に向かう若い兵士たちがこぞって押し寄せるからだ。「人だかりが目立って危険だ」と閉鎖命令を出す政府役人に、ヘンダーソン夫人は抗議する。
「私の息子は前の戦争に行き、21歳で亡くなった。遺品の中に女性のヌード写真があるのを見て思ったわ。一度でいいから本物のヌードを見せてやりたかったと。」
ショーは再開。暗い戦争ムードを吹き飛ばし、この世のパラダイスが上演され続けていく。

ヘンダーソン夫人の贈り物

映画を観終わって考えた。人間は死ねば肉体は滅び、あの世に金品を持っていけない。しかし冥土の土産という言葉があるように、魂が思い出を持っていくことはできるだろう。最後は涙の思い出でなく、笑顔の思い出でありたい。

死は運命が連れてくる。空から降ってきた爆弾に当たって死ぬか、100歳まで長生きするかの未来は見えない。自殺も運命の内かもしれないが、決断を下すのは自分だという猶予がある。時刻通りの必要はない。
目をつむって電車に飛び込む前に、目をかっ開いてヌードを鑑賞してからだって遅くないだろう。あいにく今夜は満席でも、明日は最前列で大判振舞いが見られるかもしれない。明後日は一番可愛いダンサーが目配せしてくれるかもしれない。笑顔の思い出作りをする間に、死ぬことが馬鹿らしくなっていくかもしれない。

どうにかなる。重く考えすぎないことだ、と思う。自分が想像しているよりも周りは軽くて単純だ。この上ないお楽しみを体験するまで、生きることに欲とウィットを持つのを誰も咎めはしない。

コメント

  1. marie より:

    数年前、ふと小耳に挟んだ話ですが、わが弟の死で姉が言っていた言葉である。
    「女も知らないで死んでいったんだなぁ・・・」と言ってました。

  2. yuris22 より:

    marie様

    そうでしたか。ご本人の意向だったかもしれませんが、この世の半分を占める者を知らずに逝かれたのは淋しいような気がします。生まれ変わった時には、前世を挽回するほどの恋をしてもらいたいですね。

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