福島へ走る新幹線から

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東京発12:40のやまびこ61号がホームを滑り出した。後ろの座席で既に弁当を広げている二人は、スーツ姿の若い上司と部下。仙台への出張らしく、帰りには牛タンを食べようと、既に今夜のお楽しみ計画で盛り上がっている。

やまびこに乗ったのは久しぶり。FM仙台の構成の仕事をしていたころは定期的に往復し、座席のテーブルにタイムリミットが迫る原稿用紙を広げて、騒がしい周りの乗客にイライラしていたものだ。

それが今では図太くなったのか、甲高い声のオバチャンが喋り続けていても平気。聞こえてくる内容は涙あり笑いありの人情劇だったりする。

夫婦か恋人と思われる男女が会話ひとつせず、到着駅まで各々のスマホに夢中になっているのは、今の時代ならではの車内風景だ。

単発の人間ドラマを想像力豊かに楽しみながら、車窓の景色はいつの間にか緑の絨毯みたいな稲たち。

今日は仕事ではなく南相馬へのボランティア旅行であるが、こうして日常から離れて遠距離列車に乗るのは、都会に縛り付けられていた心が解放される。違う自分に出会える。

初めての福島駅に降りたら、私も単発ドラマの一員になろう。

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