ソチ・オリンピックと有名人

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ソチ・オリンピックが終わった。昨夜はノルマの原稿書きを中断して、華やかな閉会式を見ながら深夜の夕食。締めくくりのセレモニーはまるで大晦日のカウントダウンみたいに感動的で切ない。

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88ヶ国、2800人。カラフルな国旗を抱えた旗手が入場した後、笑顔で行進する選手たち一人ひとりが国を代表するスーパースターであることに改めて驚く。日本選手団は15歳の平野歩夢選手から41歳の葛西紀明選手まで113人。団長はずいぶん貫禄がついた橋本聖子だったが、彼女も女子スピードスケートの記録を作ったアスリートであったことを思えば尊敬せずにいられない。

人生の晴れ舞台と言えば一般には卒業式や結婚式などの儀式で、たいていの人が経験するもの。それに対して4年に1度のオリンピック選手に選ばれる確率は天文学的に少なく、買えば誰かが当たる宝くじとは違って、血がにじむような努力を重ねた同士が競り勝って得たプラチナ・チケットである。

閉会式エンディングのディスコタイムで踊る選手たちを見ながら、スポーツ、エンターテイメント、政界、ビジネス界などで有名人と呼ばれる人たちは世界にどれだけの人数がいるのだろうと思った。全く見当がつかない数であり、確かなのはその中に私のような凡人が含まれていないこと。自分が主人公の次なる晴れ舞台はいつやってくるのか、たぶんお葬式かなと苦笑いしてしまう。

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思考がネガティブに行きそうなところにスマホが鳴った。着信画面は意外な名前。なんと10年ぶりと思える友人からの電話である。
「こんな夜中にすみません。どうしてるかなって、急に思い出したので・・。元気ですか?」

夜中に思い出してくれてありがとう。相変わらず元気でおります。10年たってもアドレス帳に健在な私は友人にとっての有名人であり、話せば苦労話が尽きない人生を走ってきたアスリート同士でもある。スポットライトを浴びる晴れ舞台は巡ってこなくても、不況続きのご時世に電話番号が残っているのは嬉しいことだ。

「その人のことを誰も知らない、それに誰にも話しかけてもらえない、なんて人がいたら、その人、だんだん消えてってしまうに違いないぞ。だって、自分がいるって信じられなくなってしまうもの。」
(「ムーミンパパ海へ行く」に出てくる台詞)

テレビを消し、ベッドに潜り込んでFaceBookをチェック。友人たちの顔写真はみな「我ここに在り」と言っているようで、いいね!を押しまくった。朝になって「あっ、ゆり子さんだ」と気づいてくれたらとても幸せである。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    「自分の存在価値」をいかに示すか。大変に重く、大きな人生の問題ですね。
    ボンクラなぼくにできる事は、「ただ、ただ,ただ生きる」だけ。多くの人々は、そのようなことも考える暇も暇もないかも知れませんね。ゆり子さんブログは、改めてそのような根源的な命を思い出せていただけます。

    ありがとう。

  2. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    私もただ、ただ、生きるだけですよ。感情の起伏が人より激しい分、喜怒哀楽に振り回される忙しさはありますけどね。それを文章に書き出すブログは「王様の耳はロバの耳」の穴みたいなものかもしれません。

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