良く生きて良く死ぬ

スポンサーリンク

昨日、塩と酢の記事をアップしたらその夜、偶然にもそれを下さった本人と食事することになった。
恵比寿駅で待ち合わせて、隠れ家のような小さなイタリアンレストランで白ワインをオーダーする。

乾杯をするとき、彼は決してグラスを合わせない。「お疲れさま~」なんていう決まり文句も言わない。
黙って目の高さにグラスを上げて、一呼吸置くだけ。そのしぐさが実に様になっている。

元祖「ちょいワルオヤジ」で、お酒、お茶、料理、食器、ギター、骨董品等などなど、趣味の世界で抜きん出ている彼は、私にとっては大人のセンスとマナーを学ぶ厳しき師匠である。
隣に座ると図々しくも二の腕をつねって、セクハラ脂肪チェック。
「肥ってないでしょ」と言えば「フン、どうだか」。けなすことはあれど、褒めてくれることは滅多にない皮肉オヤジだ。

今必死に練習しているMARTIN D-41に関しても、
「”D”というのは甲板のデッキのDなんだ。つまり甲板のデッキのように広くて大きいということ。ピックでかき鳴らして弾くギターであって、女の子が爪弾くギターじゃないよ。やめときなさい」
とズケズケ言ってのけられた。そうは言いつつ、ゲージを3種類プレゼントしてくれる優しさも持っている。
ちなみにMARTINに関しては、シリアルナンバーもまだ入っていない、マンハッタンで作られていた時代のものからコレクションしているそうだ。

彼は鎌倉で「THE BANK」というバーを開いていて毎週土曜日には顔を出しているのだが、そこにはファンの「男たち」が次々と、話を聞きに訪れる。
「俺は女より男にもてるんだよ」と苦笑いしているが、別にゲイではない。
濃紺のジャケットに趣味のいいポケットチーフ。ウィスキーのグラスを前に、ゆっくりとシガーの煙をくゆらせている姿は、バーカウンターに溶け込んだ一つの絵画のようだ。

若い頃からずっとシガーを愛してきた彼が、体調が悪くてこの2週間は1本も吸っていないという。
「シガーが吸えないのは、人生の楽しみの半分を失くしたようなもんだ。俺ももう長くはないな。」と将来を案じつつ、「地球はあと50年持たないぞ」と暖冬の昨今から地球の未来も心配する。
まあ、長生きすればいいってもんじゃないしね~と言葉を返したら、しばし黙っていた彼がインディアンの諺を教えてくれた。

「良く生きて良く死ぬ」

生まれたときから人は死ぬ運命を抱えている。そう考えると空しいだけだが、人生を充実して生き、安らかに大地に帰っていくのは幸福なことだ・・・そんな意味だろうか。
今ままで医者には1回も行ったことがない(外科は別)と豪語する顔が、インディアンの長老のようにも見えてきた。

コメント

// この部分にあったコメント表示部分を削除しました
タイトルとURLをコピーしました