都心から逗子へ|深呼吸できる贅沢

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朝目覚めたら、まずは窓を開けて深呼吸。
緑が濃くなってきた初夏の木々から、今日のエネルギーを貰う。
晴れた日には逗子湾から潮の匂いが混じり、雨の日には柔らかな土の匂いが上がってくる。

朝の緑1
朝の緑2

私にとってはいつも通りの朝。
でも朝はもちろん、一日中でも窓を開けることが出来ない人たちがいる。

5月30日、安倍首相は国の基金から東京都のぜんそく対策事業に60億円を拠出する方針を示した。東京大気汚染訴訟の和解協議への対応だ。
1996年5月の第1次提訴に始まって、2006年3月の第6次提訴まで原告は合わせて633名。しかもこの間に108名が亡くなっている。

喘息・慢性気管支炎・肺気腫といった大気汚染公害の被害者たちは、18歳以上になると医療助成の対象とはされず、苦しくても生活のために仕事は休めない。悪循環を繰り返しながら病状を悪化させてきたのだ。

ディーゼルの排気ガスが充満する軒先に、洗濯物を干す家族。
慢性渋滞の幹線道路沿いで、細々と生計を営んできた町工場。
その結果、24時間酸素吸入の管を装着しないと生きていけないお父さん。

引っ越せばいいじゃないかと簡単に言う人もいるだろう。
しかし彼らが「それ」に気づいた時には遅すぎた。しつこい風邪、煙草の吸い過ぎ、アレルギー体質かな?の推測は、ぜん息の発作が進んでから「公害」の仕業だと気付く。

子供のころ、東京に行って帰ってきた夜は、母に「鼻の中をよく拭きなさい」と言われたのを思い出す。ティッシュで拭き取ると真っ黒なススが着くのには驚いた。
思えば当時は高度経済成長時代。発展の陰で環境破壊がもたらした罪は大きく、つけは尾を引いている。

今私が暮らしている逗子の家では、毎日掃除しなくても殆ど埃が積もらない。
窓の外に広がる森林と海という、自然の空気清浄機が24時間稼動しているからだ。

こんな恵まれた環境を守ってきた人々に感謝しつつ、私には些細なことしか出来ず申し訳ない。ささやかな文章がいつか未来の役に立てるよう、今はひたすら綴っていくのみである。

コメント

  1. たそがれ より:

    いまや、空気さえ商売になる時代かも?

    私の町もしばらく離れているうちに、道路・車が驚異的に増殖、田んぼ、森や小川が消え、まるで浦島太郎。

    どじょう、フナ、めだか、ウシガエル、ゲンゴロウ、ホタル、くわがた、カブトムシ、かなぶん、へび、ひばり、ウグイス・・・みなぁ~どこいった???

    それでも まぁってる なつやすいみ~

  2. 亀吉 より:

    東京の木々も悪環境の中で健気に頑張ってるよ。
    『偉いぞ!』って声をかけたよ。

  3. yuris22 より:

    たそがれ様

    >いまや、空気さえ商売になる時代かも?

    そうですね。酸素バー、酸素カプセルは全国に広がってますものね。

    >私の町もしばらく離れているうちに、道路・車が驚異的に増殖

    その道路に殆ど車が走ってなかったりすると代議士をドヤしたくなります。利便さも度を越す必要はないですから。

  4. yuris22 より:

    亀吉様

    枯れかけている街路樹を見ると、何故か亀吉さんを思い出します(笑)
    道路から(カウンターの外から)今日も毒ガスを浴びているんだな~と。

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