夾竹桃の島

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アブラゼミがリードを取っていたコーラスにミンミンゼミが加わって、夏の暑さが音から伝わってくる。
目から伝わる暑さなら、私の場合は夾竹桃(キョウチクトウ)だ。
道路沿いや公園の何処にでも見かける赤、白、ピンクの花だけど、強烈に焼きついているのは子供のころ行った瀬戸内海の四坂島に咲く夾竹桃である。

夾竹桃

四坂島は住友金属鉱山の工場がある島で、銅製錬をしていた昭和の時代には社宅や学校、病院など、工場関係の人たちが日々の生活を営んいた。

ここに暮らす伯父家族を訪ねた夏休み。港に近づく船からまず目に入ったのは、島を覆いつくさんばかりの夾竹桃だった。
はしけに降りて、汗をかきかき上っていく石段の両側にも夾竹桃。どれくらい上ったか振り返ると、のんびりと広がる青い瀬戸内海から涼を連れた風が吹いてくる。

伯父たちが暮らしていた家の記憶は全く残っていないのだが、覚えているのはどこに行くにも石段だらけだったこと。逆に言えばそれしかない殺風景な島だったかもしれない。

ふうふうと上り下りして唯一の楽しみは、小さな食堂で食べるかき氷。
氷イチゴで真っ赤になった舌を、従妹たちと見せ合いっこしては、またむせ返る暑さの中に飛び出していったものだ。

走り出す背中に向かって、何度も祖母に注意されたのを思い出す。
「夾竹桃には毒があるから触っちゃいけないよ。枝をお箸に使った兵隊さんたちが沢山中毒になったんだからね。」
本当かどうかは分からないが、その言葉がずっと耳に残って、今でも夾竹桃には触ることが出来ない。

現在の四坂島は公害問題で銅製錬を止め、今は酸化亜鉛の製造をしているらしい。
工場で働く人々が船で通勤しているものの、住む人は誰もいなくなった。
老朽化が進み廃墟となった郵便局や学校、病院の跡。祖母も伯父もとうの昔に他界した。

島を包む夾竹桃の花たちは、今も手付かずに夏の盛りを咲いているのだろうか。

コメント

  1. こまちゃん より:

    ググッてみたら、相当強い毒があるそうで。
    綺麗なものには毒があるモノなんですねぇ。
    で、美しいプロフ写真が好評のゆりさんには毒は?

  2. yuris22 より:

    こまちゃん

    持って生まれた毒はありませんが、酔うと毒言を吐きます(爆)

  3. Manta より:

    街路樹にも流行りがあるんでしょうか?
    30年以上前争うように夾竹桃が植えられました。
    テレビ番組でブッシュの人だったと思いますが、夾竹桃の葉っぱから取った毒を矢につけて狩をする番組が4~5回流れた数年後です。
    おいらは、役所の人間が気が違ったんだと思ったんです。
    花が綺麗と、大麻や鳥兜を植えたりするんでしょうか?
    (単なる無知とは思えなくて・・・)
    今思うと・・・今の時代を先取りしていたんでしょうか?
    幸い今の所不幸な使い方はされていないようですが・・・

  4. 詩人たそがれ より:

    祖母と母の話を縁側で聞きながら、

    時はいつしか夕方

    夕日に光る入道雲にのってきた突然の閃光と地響き

    そして 夕立・・・

    その後のアブラゼミたちの大合唱!!!!

    「あぁ~ 夏だ 」と感じた時・・・

    今は 「持って生まれた毒」が・・・ほしい・・・

  5. yuris22 より:

    Manta様

    なるほど夾竹桃にはそんな背景があったんですか。
    何も知らない子供たちが枝葉に触ったら大変なことになりますよね。

    そういえば夏によく見かけるエンジェル・トランペットも毒性が強いとか。
    どうして好んで植えられているのか不思議です。

  6. yuris22 より:

    詩人たそがれ様

    子供の頃、雷がとても恐かったんですよ。
    落雷したらどうしようと、家中の電気を消して震えてました(笑)

    でも夕立のあとの地面のにおいは大好きでした。

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