この季節にいちばん胸をキュンとさせるもの。それは風に揺れる銀色のススキと黄色いセイタカアワダチソウだ。
春には線路際に咲く菜の花を目で追いかけるように、群生している植物に心惹かれる。日なたの匂いは、今は会えない誰かの記憶でもある。
高校生だった頃、家の近くにススキの原っぱがあった。
祖母が鋏でススキの穂を切ってきては、ぷっくりとしたミミズクを作ってくれたのを思い出す。裁縫上手で、梅干作りも上手で、何でも出来る魔法の手だった。
玄関に置く季節のオブジェにと、最近になって私も真似してみたが上手く出来ない。ネットで作り方を探すより、祖母に教えて貰いたかったなと高い空を見上げる。
セイタカアワダチソウは日本全国に大繁殖した帰化植物だ。
「ブラックバスと同じくらい、しぶとい生き物なんだよ」。
教えてくれたのは、ずっーと昔に喧嘩別れしたまま音信不通の元恋人。
彼が住んでいた多摩丘陵の住宅地は人通りが少なく、空き地に咲いた帰化植物の黄色ばかりが派手に目立った。
マンションの表札はまだ残っているかなと、見に行くには時間が経ちすぎた思い出。あっさりと終わった恋は、どうして喧嘩したのかさえ忘れてしまった。
そして今、ススキとセイタカアワダチソウはいつもの散歩コースに群生している。
逗子マリーナ、真夏の象徴のようなパームツリーの下で、湘南の秋を謳歌する。
願わくばこの記憶が来年も再来年もずっと続きますように。
一緒に歩いてくれる人の横顔に、心のシャッターを押した。
コメント
昔の人って何でも上手ですよね。料理、裁縫、洗濯など、様々な生活の知恵を知っていますね。
それと、「逗子マリーナ」なんとも懐かしいです。
私が小学校の頃に遊びに行った記憶があります。
親戚が横浜にいるので・・・。
けれど、この写真ではまだ夏の景色にも見えますね。
東北では、9月に連日の雨が続いたり、気温も例年で言う10月並みの肌寒い日が続きましたが、10月に入った今では、朝晩は秋で日中は夏に近いです。
近場のショップでは秋冬の洋服が沢山並んでいますが、まだまだ早いです。
でも、今週末は飲み会があるので、秋冬もののお洒落な半袖ニットでも買い、ショートパンツでもはいて行こうと考えています。
そして、明後日は久々の平日休み。映画「容疑者Xの献身」でも観て、今回は久々の平日のイタリアンランチでもしようと考えています。
ススキが秋風になびき、時間が風のように流れていく。
お月様ではなにもなっかた様に、ウサギさんが餅つきをしている。
ただ失ってはいけないものを失わないことを願う日々だ。
marie様
萩の花は咲き、ギンモクセイは香り、植物はすっかりあきなのですが、今日は蚊に刺されてしまいました。
まだTシャツ姿が闊歩する逗子では、生き物たちは夏を引きずっているようです。
東北もショートパンツで寒くないとは、毎日が小春日和なのですね。
素浪人様
今夜の月は、雲から顔をのぞかせたり隠れたり・・。
ちょっとおぼろに霞んで、レモンドロップみたいに美味しそうでした。